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「オフィス移転は働き方を変えるチャンス」スノーピーク子会社とコラボ、コスト削減も

小鳥さえずるテントで会議? Phone Appli新オフィスが狙うもの

2018年02月09日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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オフィススペースの有効活用やコスト削減のメリットも

 石原氏は、これまでPhone Appliが業容を拡大してきた結果、次第に「組織の壁」「オフィス環境の悪化」といった課題に直面するようになっていたと語った。以前のオフィスは大半が固定席で、柔軟なコミュニケーションやスペースの有効活用ができておらず、業務PCの放置などセキュリティ面の問題も生じていた。今回のオフィス移転では、そうした課題の解決を図ることがテーマだったという。

 しかし、一般的に「社員の生産性向上」「社員間の人間関係改善」といった成果は数値化しづらく、多くの企業ではそれが取り組みのさまたげにもなっているのが実情だ。そう質問したところ、今回の成果はそれだけではないという答えが返ってきた。具体的な成果として、オフィスコストの削減にもつながっている。

 たとえば、今回導入したアウトドアテーブルやアウトドアチェアは、事務機器メーカーのオフィス什器よりも安価だった。加えて、オフィス内にできるだけ「壁」を作らないことで、改装費用も大幅に抑えることができたという。固定されたオフィス什器や壁がないことで、セミナー会場としての活用など、オフィススペースの有効活用も図ることができる。リモートワークの推進とフリーアドレス化によって、社員全員ぶんの業務スペースが必要なくなれば、オフィススペースの持つ意味合いと活用法をあらためて考え直さなければならないようだ。

今回のCaMPオフィスで得られたメリット。オフィスコストの削減にもつながっている

 もちろん、オフィスを改装するだけですべての課題が解決できるわけではない。石原氏は、Phone Appliが実践するさまざまな「働き方改革」の取り組みも紹介した。特にコミュニケーションを重視しており、上司と部下が毎週1対1で面談を行う制度などを取り入れている。綿密なコミュニケーションを通じて会社と社員の間で明確な目標を共有できていなければ、場所を問わない柔軟な働き方は実現できない。

Phone Appliが「働き方改革」で取り入れているさまざまな制度

 石原氏は、多くの企業が「働き方改革」の言葉を掲げているものの、その実体は「“残業削減イコール働き方改革”という、明らかに間違ったメッセージになってしまっているのではないか」と指摘する。「働き方改革」で本来目指すべきものは残業代の抑制などではなく、働き方を変えることを通じて、本質的な企業価値を向上させることだったはずだ。

 「それでは、どういう働き方であればいいサービスや企画を生み出せる(=企業価値向上につながる)のか。そのためには、社員が最大限のパフォーマンスを発揮できる場所で自由に働ける空間を、会社が提供することが必要だ」(石原氏)

 ここで言う「空間」とは、オフィスだけを指すものではなく、自宅や社外のコワーキングスペース、カフェなど、あらゆる場所を指している。さらには、場所を問わず業務が遂行できるテクノロジー(コミュニケーションツールなど)や、それを可能にする人事制度といった「環境」も含まれるだろう。

 Phone Appliでは、このCaMPオフィスを“新しい働き方”のショールームとして公開していく方針だ。実際に、オフィス移転を検討中の企業から「見学したい」という声を多く聞くと、石原氏は語った。

 「オフィスの移転は、自社の『働き方』を変える大きなチャンス。だが、従来の『働き方』をそのまま持っていこうとする企業がまだまだ多い。ぜひ見学に来ていただいて、新しい働き方のヒントをつかんでいただければ」(石原氏)

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