このページの本文へ

「ぼっち飯」にサヨナラ、食事付き交流会が静かなブーム

2018年02月08日 06時00分更新

文● 吉田由紀子(ダイヤモンド・オンライン

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

初対面でも食事をすれば仲良しに!
「食事付き交流会」が静かなブーム

初対面の人同士が集まって食卓を囲むサービスが全国各地で増えている

 見知らぬ人が集まって食事を共にする。そんな交流会が静かに広がっている。

 大阪市の住宅街にある「松野農園」は、築50年の古民家を利用した交流スペース。ここで毎週1回、ランチ交流会が開かれている。

 有志が作るランチはボリュームたっぷりで、敷地内の畑で栽培した野菜や果物を使うこともある。手作りのランチを楽しみに、近所の人や外国人留学生、親子連れ、高齢者など、様々な世代の人がやってくる。費用は材料費を人数で頭割り。初めての人が大半だが、食事をしながらおしゃべりをするうちに、いつしか友だちになっていくという。

 こうした食卓を囲んでの交流は、地域の公民館やコミュニティスペースで開かれることが多い。「子ども食堂」「シニア交流会」など様々な活動が全国的に広がっている。

 そんなブームの中、働き盛りのビジネスパーソンを対象とした交流サービスも登場している。そのひとつ「みんなの食卓」は、まったく初対面の人同士が集まって食卓を囲むサービスだ。現在、東京都内の各所で試験的に開催されている。

 平日の夕方、両国駅近くの交流スペースに仕事帰りの会社員が続々と集まってくる。「みんなの食卓」は、COOK(クック)と呼ばれる料理担当者が、決められたメニューを調理する。参加者も可能な場合は食器を並べたり、調理の手伝いもする。キッチンで作業をしながら、だんだんと打ち解け、食事をする頃には、様々な話題が飛び交うようになる。この日のメインの献立は、青椒肉絲と、水餃子のスープ。炊きたてのアツアツごはんや湯気の上がる料理を囲んで話が盛り上がっていく。大皿から取り分けるスタイルなので量を調整でき、お替わりも自由。そんなところも人気の秘密だ。

ビジネスパーソン向けの
交流会も登場

時間がある人は食事の調理も手伝う。料理を手伝い、準備をするうちに自然とコミュニケーションがとれ、話が弾むという

 この日、初めて参加した女性は、「知らない場所で知らない人たちと晩ごはんを食べるのって楽しいの?という怖いもの見たさの興味から参加してみましたが、楽しく食事ができて、とても居心地の良い空間でした。青椒肉絲、水餃子のスープはおいしくて、お腹もほかほかになり、1時間半があっという間に過ぎました」と感想を話してくれた。

 食後は参加者も加わって片付けを行う。これも楽しそうに手伝う方が多いそうだ。

「みんなの食卓」は2017年に始まったサービスだが、すでに200人を超すユーザーが利用している。参加方法は簡単だ。Webサイトから行ってみたい日程を選んで予約。後は当日、開催場所へ行くだけである。メニューはホッとできる家庭料理が中心で、栄養士が考案した体にいい料理が並んでいる。

 別の日には、しょうゆ麹の牛丼、大根のとろみ煮、白菜の梅かつお、温泉卵など、体にやさしいメニューも。参加した女性は「遅れて来たのですが、とてもオープンな雰囲気で居心地の良い空間でした。ごはんは美味しく、煮物にオリーブオイルをかけるというCOOKのアレンジアイデアも新しい発見でした。またぜひ来たいです」と話す。

 現在は、単発での参加以外にも月額メンバープランがあり、月2回プラン(3990円)と、好きなだけ参加できる行き放題プラン(6990円)の2つが用意されている。都内23区内の約20ヵ所で開催されており、開催規模は拡大中である。

「食事で交流」が
理にかなっている理由

 運営するのは株式会社キッチハイク。同社は「KitchHike(キッチハイク)」という料理を作る人と食べる人のマッチングサービスを提供している。その中で、「食べる側の交流体験」に特に重きを置いて始めたのが「みんなの食卓」である。

「従来のKitchHikeは、料理を食べたいという目的がメインでしたが、みんなの食卓は、参加者同士の交流がメインです。料理を通してフラットに参加者のみなさんが交流できるように工夫しています」(株式会社キッチハイク 共同代表 山本雅也さん、以下同)

 参加した人からは、他にも「手作りの温かいご飯がおいしかった」「目の前でごはんを作ってもらえるので、安心して食べられる」「誰かと食事を共にするのが楽しい」「食べるのが好きな人と情報交換ができる」、こんな声が上がっている。

「参加された方からは『ふだんの生活とは違う環境の人に会うことができ、知らない情報や話が聞けるのがいい』という声が多いです。人類は、はるか昔から食の場を通じてコミュニケーションをとり、他者と交流を深めてきました。『なわばりに入ってきた部外者と友好を深めるためには、一緒に食事をするのが一番だ。地球上の全ての民族が根源的にこの慣習を持っている』という文化人類学の一節があります。人間は古くから、生活で最も大切な『食』を分かち合うことで、全く知らない他者とも絆を深めてきたんです。私たちは、食卓に集まった様々な人たちと一緒に食事をすることを『民食(みん食)』と呼び、新しい食事の選択肢として広めていきたいと考えています」

 現在は東京都内限定のサービスだが、今後は首都圏から地方まで開催場所を増やしていきたいと考えている。

「人が住む場所には必ずコミュ二ティ(交流場所)が必要になると思います。みんなの食卓がそういったハブ的存在になればうれしいです。将来的には、さらに輪が広がって、外食、中食、内食に続く第4の選択肢として“民食(みん食)”が当たり前になる。そんなシーンを描いていきたいです」

(吉田由紀子/5時から作家塾(R))


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

カテゴリートップへ

最新記事
最新記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ