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経団連会長に就任する日立・中西氏の狙いは「電力改革」

2018年01月22日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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経団連会長に就任する日立製作所の中西会長。東京電力との連携が電力システム改革の鍵に Photo:JIJI

 経団連に久々の“本格派”会長が誕生する。同会長人事は近年、本命候補が固辞するなどして2番手以下が就任するケースが続いた。だが今回は違った。大本命だった日立製作所会長の中西宏明氏がそのまま会長就任を引き受けたのだ。

 現会長の榊原定征氏は政府との関係修復を重視するあまり、「政権の言いなり」と批判されるなど存在感を発揮できなかった。

 これに対して中西氏が政権に物を言えるかはともかく、その“押し”の強さは折り紙付きだ。

 これまで経団連会長が活躍するには出身企業の支援体制が必要とされてきたが、中西氏は会長内定後の会見で、「今は(トップの)個性が引っ張る時代だ」と繰り返し強調。財界と距離を置いてきた日立には経団連会長を支える組織力が足りないとの指摘を一蹴した。

 中西氏には2008年度に7873億円の最終赤字を出した日立をV字回復させた実績がある。では、その個性と指導力で今後、何を企てようとしているのか。

川村東電会長と再び共闘か

 あまり報じられていないが、中西氏は前述の会見で「原発再稼働は必須」とした上で、海外で再生可能エネルギーが急速に普及していることを指摘し、「(火力発電に依存した)電力政策では日本は世界から非難を浴びる。経団連はもっと積極的に発言していく」と決意を語った。

 決意表明はそれにとどまらない。AI(人工知能)などによる電力供給効率化に積極的な中西氏は、「(再生可能エネルギーを活用し)、分散電源化したときの新しい電力の安定供給の仕組みづくりで日本が世界に遅れる可能性が高い」との危機感を示し、「制度設計をちゃんとやり直さないと駄目だ」と言い切ったのだ。

 当然、電力業界には波紋が広がっている。日立再生の盟友である日立前会長の川村隆氏が東京電力ホールディングス会長を務めていることも衝撃を増幅させた。

 中西氏は周辺に「川村氏とはずっと一緒にやってきた。(電力についても)意見は変わらない」と話している。

 国のエネルギー基本計画や電力会社の経営計画に東電などの意見が十分に盛り込まれないことも中西氏は問題視。次期計画に民間の声を反映する意向を示す。

 中西・川村の「日立連合」による改革を、かつて経団連をヒトとカネの両面で支えた東電関係者は複雑な心境で見守る。東電からすれば日立は発電機器を納める下請け業者だ。ある東電関係者は「政府を動かせるならやってみればいい」と高みの見物を決め込む。

 経団連会長の任期は2期4年。その間、日立が主導し、日本政府が後押しする英国での原発事業が具体化する。経団連と日立の会長として中西氏が背負う重荷は、電力関連だけでも相当なものになるだろう。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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