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テレアポ、訪問なしで地道に稼ぐ!営業レターの思わぬ効果

2017年12月20日 06時00分更新

文● 菊原智明(ダイヤモンド・オンライン

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現在のお客様は電話になかなか出ないので、テレアポが取りにくい、アポなし訪問営業も嫌われることが多い。そんな時代こそ、非常に地味だが、意外と効果的なのが、お役様に役立つ情報を繰り返し送る営業レターだ。かつて住宅メーカーのダメ営業マンからトップ営業マンになった経験を持つ筆者が、具体例を交えて解説する。(営業サポート・コンサルティング代表取締役、営業コンサルタント 菊原智明)

一発屋芸人とお客様の心理は
意外に似ている!?

 時々、テレビ番組で“一発屋芸人が集まっての座談会”という企画をやっている。

 あなたも見たことがあるかもしれない。個人的には、一発屋芸人を尊敬している。なんといっても“一発当てた”のだから。ほとんどの芸人が日の目を見ずに終わる中、たとえラッキーだとしても一発でも当てられたのは本当に凄いことだからだ。

 そんな一発屋芸人がよくする話しの中で「あのころはほっといてほしかったが、今は何でもいいから構ってほしい」というものがある。

 売れていた当時はマスコミからしつこく追っかけられプライベートもない。この時期は心の底から《ほっといてほしい》と思う。しかし、売れなくなると状況は一転、今度は何をしても注目されなくなる。そして今は《誰でもいいから構ってほしい》という気持ちなのだという。

 これはお客様の心理と似ている。

 何かの商品を購入しようと資料請求をしたとする。複数の会社の営業スタッフから電話がかかってきたり、メールが届いたりする。今は少なくなったがアポなし突撃訪問してくる人もいるかもしれない。

 とにかく、多くの営業スタッフからアプローチされている時は《自分のペースで考えたいから、ほっといてほしい》と思う。しかし、営業スタッフが1人減り2人減り、最後には誰もいなくなる。静かになってよかったと思う半面、《ちょっと寂しいな》と思うようになるもの。

 こんな時、定期的に郵送物などが届いていれば《この人はまだ気にかけてくれているのか》と、いい印象を持つものだ。もちろん役立つ情報でなくては困るが…。やはり細く長くお客様とつながっている営業スタッフは強いのである。

ネット時代における営業レターの効用
無理に営業すれば叩かれる

 私はその接触方法の一つとして“営業レター”をおススメしている。営業レターとは、文字通りに、お客様へ送る手紙のことである。

 《今さら手紙?》と思う人もいるかもしれないが、この先の話を聞いてほしい。

 私はさまざまな企業からの依頼で営業レターの研修をさせていただいている。営業レターの研修の問い合わせがあった場合「どうして営業レターに興味を持ったのですか?」と理由を質問するのだが、この回答が非常に興味深い。

 ある担当者は「今のお客様は警戒心が強く、少しでもアタックしただけですぐにネットで叩かれます」と言っていた。

 今は誰もが情報を発信できる時代。少しでも嫌な思いをすれば、

 “○○社の営業スタイルは最悪。注意したほうがいい”

 と書き込みされてしまうのだそうだ。

 本当に難しい時代になった。お客様が進化したのだから営業スタイルも進化させなくてはならない。このお客様の進化に対応できる会社だけが、今後も生き残っていけるのだ。

 一昔前であれば、どんなお客様でも3回訪問するという “3回訪問”を強制していた会社もあった。そういった方法を強制してくる人たちは決まって「1度や2度ではお客様は本音を話してくれない。3回顔を出して初めて本当のことを話してくれるんだ」と主張する。

 まあ、言っていることは分からないでもないが…。

 私自身も何度もやったことがあるが、一度断られたお客様のところに再度訪問するのは本当にキツイ。顔を出した途端「何しに来たんだ!他社に決めたって言っただろう!」と怒鳴り散らされることもあった。それでも上司の命令で渋々やっていたが、その当時ストレスで胃が悪くなり、食事のたびに胃薬を飲んでいたものだ。

 心臓に毛が生えていなければ、とてもじゃないがメンタルがもたない。

今のお客様はとにかく電話に出ない
無理なテレアポは逆効果

 これは訪問だけでなく“テレアポ”でも同じことが言える。今のお客様は、とにかく電話に出ない。

 心当たりのない番号から電話が掛かってきたとする。

 多くのお客様は鳴りやむまでそれをじっと眺めている。そして鳴り終った後、ネットでその電話番号を打ち込み“番号検索”をかけるのだ。

 私もかかってきた番号を検索したことがあるのだが、“この電話番号は買い取り会社のテレアポ。出るとしつこいので注意して”といった書き込みがたくさん出てきた。

 それを見てこの番号を着信拒否に指定した。この会社はテレアポをすればするほど、悪評を広めてしまっているという訳だ。

・突撃訪問して買わせる
・テレアポで強引にねじ込む

 こういった行為を営業スタッフに命令したらどうだろうか?数の原理で、一瞬結果が出ることもある。しかし、無理やり買わせたお客様の満足度は低い。

 間違いなく、クレームやキャンセルも多くなるだろう。もちろん紹介など出るわけもない。こんな活動をしていれば、営業マンが疲弊し次々に辞めていくことなる。採用にもお金がかかり、利益は残らなくなる。

 それ以上に問題なのは“この会社からは絶対に物を買わない”といった敵をつくってしまうことだ。「一瞬だけ利益を出して終わり」という方針ならばいいが、長く会社を運営していくのなら、これは得策ではない。

役立つ情報を
地味に繰り返す方がいい

『訪問しなくても売れる! 「営業レター」の教科書』(日経ビジネス人文庫) 菊原智明著 240ページ 864円(税込み)

 そうではなく、お客様に対して“役立つ行動”を地味に繰り返していく方がいい。私が推奨している営業レターは“本当の意味でお客様に役立つ情報”を送るというやり方である。

 住宅営業の例で説明しよう。

 私は検討中のお客様に対して“すでに住んでいるお客様の後悔している例、失敗例”を解決策とともに送っていた。

 それまでは“当社のメリット”や“キャンペーン情報”を送っていた。こういった内容が役立つのは当社を検討しているお客様のみである。これでは本当の意味でお客様の役に立つことはできない。しかし、過去のお客様の失敗例であれば、「どんなお客様でも参考になる」と考えたのである。

 少し概念的な言い方をすれば“私から買わなくてもいい。でもこの失敗例だけは参考にしてほしい”といった気持で作成して送っていた。このように送る内容を変えたところ、お客様から徐々に反響が出るようになった。

 しかも、営業レターを送ったお客様との商談は非常に楽だった。お客様に《この人なら信頼できそうだ》と思っていただいているため、競合も少なく無理な値引きもない。こうして契約になったお客様は満足度も高く、紹介もよく出るようになった。

 営業レターを送り続けてから商談をする、と聞くと時間がかかるように感じるが、実際にはこの方がそう時間はかからず、今までの4倍以上の契約を取ることができた。

「急がば回れ」ということわざがあるように、短期間で数字を上げようとするのではなく、じわじわ上がっていくことを心掛けてほしい。情報化社会ではこういった地道な活動をしている会社こそ生き残っていくだろう。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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