このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

「デジタルネイティブ企業の登場」「情シス部門/子会社の組織変革」など10大予測

「デジタル変革の進展で脱落企業も」IDCが2018年IT市場予測

2017年12月15日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

■6「パーベイシブAI」:
コグニティブ/AIシステムが普及期に入り、2018年には市場が2倍に拡大する

 国内のコグニティブ/AI市場は、2017年には275億円であったが、2018年には549億円と約2倍に拡大する。サービスを補助したり、製造プロセスを改善したり、チャットボットを活用した自動受注システム、サイバーセキュリティ、AIスピーカーなどのほか、レガシー分野においてもAIを活用する動きが出てくる。OTやIoTデバイスを含み、あらゆるところでAIが利用されることになるだろう。

■7「データ主権を巡るナショナリズムとグローバリズム」:
GDPRによるデータ主権の脅威に企業がさらされ、データ保護に対するブロックチェーンの有効性が試される

 EUで2018年5月に施行されるGDPR(一般データ保護規則)によって、ひと悶着起こることになるだろう。日本企業が罰金を科せられる事態も想定される。実際、日本企業はGDPRに対し、あまりにも準備できていないのが心配だ。パーソナルデータの保護技術としてブロックチェーンが注目されており、これによって安全性と可用性を高めることができると考えている。

来年施行されるGDPRについてはまだ法令運用に不透明な部分も多く、注視しておく必要がある

■8「エンタープライズインフラの多様化」:
エンタープライズインフラストラクチャ支出モデルの多様化が進むとともに、ベンダー間の競争力の差が広がる

 2018年の国内エンタープライズインフラは、前年比2.6%減と縮小傾向を予測している。そうしたなかで、エンタープライズインフラの支出モデルが多様化し、ベンダー間の格差が広がることになる。ハイパーコンバージドインフラ(HCI)の登場によるオンプレミス市場の変革、GPUやFPGA、ASIC、メニーコアなどのアクセラレーテッドコンピューティングの台頭、オールフラッシュ化されたプライマリーストレージの主流化、新たなメモリーテクノロジーの投入などが予想されている。ITサプライヤーは、多様な購買モデルを提供できるよう整備を図るほか、OPEXモデルの拡充などに取り組むべきだろう。

■9「HDインタフェース」:
AR/VRの業務利用がIT導入に積極的な企業で本格化し、音声インタフェースの業務活用がスタートする

 AR/VRデバイスが多くのベンダーから登場しており、商用分野における利用環境の整備が進んでいる。だが、教育分野での活用が遅れているのが日本の課題だ。

 一方で、2018年は「音声インタフェース」の活用元年になる。AIスピーカーの普及が始まるほか、企業において議事録作成に活用するなど、業務活用の動きも出てくるだろう。将来的には、国会においても議事録を取る方法として活用される技術ではないだろうか。

■10「組織変革のコンサルティングでの共創」:
企業の情報システム部門/子会社向け組織変革コンサルティングのニーズが拡大する

 情報システム部門や情報システム子会社が持つスキル/能力と、DXで要求されるそれとのミスマッチが顕在化していく。自社に最適な情報システム部門/子会社のあり方は何か、外部に相談するニーズが高まるとみており、共創アプローチの実力が問われるようになる。

DXの進展により、企業の情シス部門/子会社に「組織変革」が求められるようになる

「第3のプラットフォーム」は第2章へ、新しいビジネスモデルを実行するとき

 これら10項目を総括して中村氏は、企業が包括的なデジタルビジネス戦略の立案に取り組むことが重要だと指摘した。

、「2018年は、デジタルネイティブに生まれ変わる企業が出現する一方で、デジタルビジネスを創出できずに脱落する企業も現れる年になる。ITサプライヤーにとっては、デジタルビジネスのよきパートナーになれるか、市場が縮小するレガシーシステムの保守ビジネスだけに甘んじるかの分かれ目の年となり、社内外の構造変革の実行が迫られるだろう」(中村氏)

 なお、2020年の東京オリンピックの開催に向けたIT投資の拡大は「それほど見込んでいない」という。

 IDCが提唱してきた「第3のプラットフォーム」(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)については、2007~2015年の「試行期間」を経て、現在は第2章である「イノベーション拡大」の時期にあると述べた。飛躍的にデジタルイノベーションを加速、拡大し、ITと新たなビジネスモデルを用いるタイミングに入ってきたと言う。

 「クラウドベンダーが6、7社に統合され始め、プラットフォームベースでの競争環境が加速し、エコシテスムでの戦いが始まっている。また今後は、特定の業種やユースケースに特化し、迅速なスケーラビリティを備えた製品による価値が高まっていくことになる」「2017年から2020年を先見すると、デジタルトランスフォーメーションを通じて、企業がデジタルネイティブ企業になるために変革を続けることで、組織と産業は破壊され、再構築される」(中村氏)

 なお第3のプラットフォームは、試行、イノベーションの拡大に続き、2022年以降は第3章となる「自律性」へと進化すると、IDC Japanでは見ている。

 同社では、第3のプラットフォーム上で、セキュリティ、AR/VR、IoT、コグニティブ/AI、ロボティクス、3Dプリンティングといった「イノベーションアクセラレーター」と、オープンソースを中心とした開発者の拡大、産業特化型クラウドの広がりなどによって、デジタルトランスフォーメーションが加速すると予測している。

■関連サイト

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ