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夕張高校が廃校の危機に一丸となって取り組む「学校再生」の成果

2017年12月14日 06時00分更新

文● 藤崎雅子(ダイヤモンド・オンライン

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財政破綻をしてから10年、人口がおよそ3割減少した北海道夕張市。市内に唯一ある高校・夕張高校も生徒数の減少に悩まされていた。そこで高校や夕張市、さらには生徒たちまでが一丸となって取り組んでいる、夕張高校の”再生プロジェクト”が成果を出している。

特別授業やオンライン英会話も
夕張高校が取り組む学校改革

全校生徒数は74人。生徒数の減少に悩んできた夕張高校だが、高校や市はもちろん、生徒たちも知恵を絞り、高校の魅力を高めるユニークな取り組みを行っている

 かつて「炭鉱のまち」として栄えた北海道夕張市が財政破綻してから、10年が経った。その間に市の人口はおよそ3割減少。特に子どもの減少が著しく、学校は統廃合が進み、現在は市内に小・中・高校がそれぞれ1校ずつ残るのみ。そんなネガティブな面ばかりが目立ってきた10年間だった。

 しかし、今、夕張市は前を向いている。昨年から「RESTART! Challenge More!」をスローガンに掲げ、未来に向けて希望の持てるまちづくりの推進に取り組み始めた。

 その一端を担っているのが、市内唯一の高校である夕張高校の生徒たちだ。「私たち市民が夕張を自慢できるようになりたい」。そんな思いで自ら動き出した彼らに注目してみたい。

 夕張高校の生徒数は年々減少し、今年度は全校で74人。交通の問題により市外からの生徒の確保が困難で、通っているのはほぼ地元の子どもたちだ。しかし、地元夕張中学校から同校への進学率は、5年前の約9割から今年度は約5割にまで低下した。このまま生徒が減っていくと、学校存続も危うい。もし地域に高校がなくなれば、子育て世帯の流出にいっそう拍車がかかる…。

 地域のためにも、再び地域の子どもたちから「進学したい」と思われる魅力的な学校にならねばならない。そんな使命感をもって、同校は学校改革に乗り出した。東京の高校との交流や、地域から講師を招く特別授業、オンライン英会話による英語力向上策など、昨年からさまざまな新しい取り組みが始まった。来年度からは海外研修などの体験的プログラムも予定されている。

なくなった地域の踊りを
地元高校生が復活させた

市と恊働で取り組んだ、仮設バス停待合所の空間デザイン。最初のプレゼンで市側から厳しい指摘を受けたことが、自分たちは利用する側の視点しか持っていなかったことに気づくきっかけとなった。

 こうした活動は、生徒が「地域の一員」という意識を持つきっかけになっている。今年度、「家庭科」の授業で実施された市との連携授業で、仮設バス待合所の空間デザインに取り組んだ3年生の二階堂ののかさんは、こんな気づきがあったという。

「今までは利用する側の視点だけしかなく『なんでこうなんだろう』と文句ばかりでした。しかし、私たちは公共サービスを受ける権利もありますが、同時に果たさなければならない義務もあることに気づきました」(二階堂さん)

 高校生は自らも変革を起こそう動き出した。その代表例が、「Change!~歴史を塗り替えろ」をテーマとした今年度の学校祭だ。

全校生徒による、迫力あるYOSAKOIの踊り。彼らの全力の挑戦が地域に元気を与えたという

 大規模校時代から、学校祭のメインイベントは山車を作って市内を回る仮装パレードだったが、少人数となった今ではなかなか盛り上がらない。そこで、生徒たちは「少ない人数だからこそできることは何か」を考え、かつて市民を活気づけていたYOSAKOIソーランチーム「ゆうばり寅次郎」の振り付けを復活させ、全校生徒で踊ろうと決めた。当時、生徒会長として学校祭の改革を牽引したのが、前出の二階堂さんだ。

「私たち生徒会が発足当初から目標にしていたのは、夕張高校から元気を発信していくことです。学校祭でも、市民のみなさんが元気になることをしたいと思い、みんなで知恵を絞りました」(二階堂さん)

 生徒会が中心となって「ゆうばり寅次郎」関係者を探して指導を請い、その踊りを全校生徒へ伝授。その他の学校祭準備にも追われる中、「ほんとうに全校生徒での踊りを完成できるのか」との心配を乗り越え、7月の学校祭では市内3ヵ所でYOSAKOIを披露。観覧した市民からは何度もアンコールの拍手があり、地域と高校生が一体となって盛り上がった。

目標額の約3倍が集まった
クラウドファンディング

 自らの手で変革を起こした学校祭は大成功。合浦英則校長は、多くの生徒の意識変化を感じているという。

「生徒たちは、『自分たちがやれることもあるのだ』と口にすることが多くなりました。自分たちが考えて動くことで、学校が変わってきたという実感があるからではないでしょうか」(合浦校長)

 高校の改革はこれから、さらに進みそうだ。道立である夕張高校の支援に乗り出した夕張市は、今年、公設塾の設置や地域の課題解決型教育プログラムの開発などを行う「夕張高校魅力化プロジェクト」として、クラウドファンディングを活用した資金募集を実施。目標金額の700万円に対し、「未来ある夕張の若者を応援します」「子どもたちの想いが叶いますように」といったメッセージと共に集まった資金は2000万円を超えた。

 人口減少や少子高齢化、学校統廃合などの課題を抱える自治体は全国各地にある。夕張市の取り組みは、そんな地域を再生させるためののヒントになるかもしれない。

(藤崎雅子/5時から作家塾(R))


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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