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特許切れ先発薬の薬価引き下げへ、久光・持田・科研製薬に逆風

2017年12月12日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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(写真はイメージです)

「そういう会社には市場から退場していただきましょう、ということですよね」(アナリスト)

 穏やかならぬ発言が指すのは、特許が切れて後発品(ジェネリック)が出た後の先発医療用医薬品、いわゆる「長期収載品」の売り上げに依存する製薬会社である。

 厚生労働省が11月22日に発表した薬価制度の抜本改革案に、長期収載品の薬価が大幅に引き下げられることが記載された。薬価とは医療用医薬品の公定価格。具体的には特許切れ後にジェネリックが登場してから10年経過した時点で後発品価格の2.5倍まで引き下げ、その後(1)後発品置き換え率が80%以上の場合は6年かけて後発品価格まで引き下げる、(2)80%未満の場合は10年かけて後発品価格の1.5倍まで引き下げるという内容だ(下図参照)。

 長期収載品にとって強烈な逆風だ。しかし膨張する社会保障費を抑制するため、国が薬剤費、とりわけ長期収載品に手を付けてくるのは、多くの製薬会社が以前から予想していたことではある。

売却は早い者勝ち

 そこで武田薬品工業、アステラス製薬、塩野義製薬など大手製薬会社は昨年から、自社の長期収載品をジェネリックメーカーなどへ相次いで売却、譲渡してきた。ある製薬会社幹部は、「値が付くうちの早い者勝ち」と打ち明ける。

「こういうルールが出たのでマーケットでの売却価格が下がり、契約不成立も出てきた」と前出のアナリスト。中外製薬は今年11月に化学メーカーの太陽ホールディングスの子会社に約210億円で長期収載品13品目を売却すると発表したが、「ぎりぎり間に合った印象。医薬品事情をよく分かっていない会社だからこそ高く売れたのでは」(同)との声もある。

 売却に成功し、新薬の研究開発に集中できる大手はまだいい。売却できるのは、それほど長期収載品に依存していなかったことの裏返しでもあるからだ。問題は長期収載品に大きく売り上げを依存してきた中小製薬会社である。

 そこで悪い意味で注目が集まっているのが、一部投資家から「長期収載品3兄弟」とやゆされる久光製薬、持田製薬、科研製薬の3社だ。各社の2016年度の売上高トップ製品は、経皮鎮痛消炎剤「モーラス」(約600億円、久光製薬)、高脂血症・閉塞性動脈硬化症治療剤「エパデール」(約206億円、持田製薬)、関節機能改善剤「アルツ」(約290億円、科研製薬)で、いずれも長期収載品なのだ。

 厚労省案には「特定の企業が極めて大きな影響を受ける」として、一部企業には引き下げ率に一定の係数を乗じることも記載されている。従って案のまま成立すれば、新しい薬価制度の影響が急に及ぶことはない。だが、じわじわと確実に広がる。長期収載品3兄弟に残された時間は少ない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 土本匡孝)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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