このページの本文へ

みずほの電子マネー普及を阻む3つの関門と「100万円の壁」

2017年12月11日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
Photo by Takahiro Tanoue

「中途半端なものになるなら事業化はノーだ」──。すでに経営陣の頭の中に“撤退”の2文字がチラつくほどの正念場を迎えているのが、みずほフィナンシャルグループ(FG)が掲げる「Jコイン構想」だ。

みずほフィナンシャルグループが立ち上げた「Jコイン構想」。三つの関門と100万円の壁に阻まれて、全国普及というゴールは遠い
拡大画像表示

 Jコイン構想とは、みずほFGが2020年までに全国に普及させると意気込んでいる電子マネー事業のこと。価格は1コイン=1円で固定され、円への払い戻しも可能で、全国の小売店での支払いに加えて、既存の電子マネーの多くが未対応な割り勘などの個人間送金のニーズにも応える予定だ。

 将来的には、キャッシュレス化によるATM維持費の削減など、日本全体で10兆円の経済効果も見込んでいる。

 構想の鍵を握るのは、他のメガバンクや地方銀行が参加するかどうかだ。Jコインがたくさんの人に使われてインフラとなるには、多くの銀行の参画が必須だからだ。

 だが、他行の動きは芳しくない。とりわけ「地銀が動向を気にしている」(みずほFG関係者)という他の2メガバンクが、いまだ参加の意思を示していない。

 そこには、参加するメリットを提示できていない、みずほFGの弱さがある。他のメガ幹部は「便利だと分かれば参加しますよ」と様子見を決め込んでいる始末だ。

 それだけではない。他にも、小売業者への勧誘とJコイン事業そのものの黒字化という二つの関門が待ち構えている。

「送金手数料はクレジットカードの半分程度」(前出の関係者)のため、小売業者にとってうまみがある半面、金融機関にとっては薄利のビジネスでしかない。そのため、決済情報の解析と提供というデータビジネスを行う考えだが、この分野でもうかるかどうかは未知数といえる。この点も、他行が参加をためらう理由といえるだろう。

阻む「100万円の壁」

 もっとも、これら三つの関門を乗り越えたとしても、懸念がなくなるわけではない。もう1点、「100万円の壁」と呼ばれる“法律の壁”が存在するからだ。

 というのも、設立が予定されているJコインの運営会社は「払い戻し可能な電子マネーを扱う事業会社」となり、不正資金の隠蔽(マネーロンダリング)対策が不可欠。となれば、送金できる上限額が法律で100万円に制限されるのだ。これでは高額支払いや企業間送金に使えず、Jコインの利用シーンを狭めることになると、みずほFG側もやきもきしているという。

 解決策として、上限が適用されない「銀行」を立ち上げる手も検討しているが、金融庁への登録手続きなどでサービスの開始時期が遅れざるを得ない。どちらを選ぶかも、他行が参画を決める上でポイントとなるだろう。

 問題山積──。このままでは、Jコインは“絵に描いた餅”で終わってしまうことになりかねない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 田上貴大)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

カテゴリートップへ

最新記事
最新記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ