税制改正、じつは毎年行われていた!? 「いやいや、そんなの常識だろ」とおっしゃるみなさんも、内容の詳細まではさすがに把握しきれていないのでは? ましてや、何から何まで自分でやらなきゃならない個人事業主さんなどは、日々の忙しさに取り紛れて、税制のことまでチェックできていない人がほとんどのはず。

税理士の宮原裕一先生。経理業務を効率化して経営に役立てるノウハウを確立。都内で宮原裕一税理士事務所(テキストをクリックすると事務所のサイトに移行します)を経営
国税庁のWebサイトに行けば、改正内容を概説したペーパーを誰でもダウンロードすることができますが、その文面たるや専門用語や独特の言い回しばかりで、我々シロウトには読み解くのも一苦労。そこで、2018年3月15日締切分の確定申告に直接関わる税制改正の大事すぎるトピックを、税理士の宮原裕一先生に分かりやすく解説していただきました!
なお弥生では、法令改正に伴う弥生製品の対応内容や各種申請手続きに関する情報などを、「法令改正情報」にわかりやすくまとめて掲載しているので、迷ったときにはチェックしてみましょう。
市販薬の購入代金が所得税控除の対象に!? セルフメディケーション税制
宮原先生が「今回の税制改正の目玉」として、一番にピックアップしてくれたのが、2017年1月1日にスタートした「セルフメディケーション税制」です。これは普段から自分の健康に気を付けている人が、特定の市販薬を購入した際に所得控除を受けられる制度とか。
「これまで医療費控除といえば、医師や病院に支払った治療代や市販薬を含む一定の医薬品などが対象でした。これに対して、医者にかからずに市販薬を使って自分で治すように努力した人の税金を軽くしようというのが、セルフメディケーション税制の考え方です」(宮原先生)
セルフメディケーションというこの言葉、じつは世界保健機関(WHO)によって、“自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること”と定義されています。
まずは前提条件をクリアしよう!
税の負担がちょびっとでも軽くなるなら、それに越したことはありませんよね。ただし、セルフメディケーション税制を受けるには、まず前提となる条件をクリアしなければならないんです。ひとつは所得税や住民税をちゃんと納めていること。そしてもうひとつは、日頃より健康管理にしっかり取り組んでいること。
「健康管理といっても自分勝手なセルフチェックでは認められません。健康に気を付けていることを、きちんと証明する必要があるんです」(宮原先生)
具体的には、次の5つのうちいずれかを受けていることが条件になります。いずれかひとつで構いません。
セルフメディケーション税制を受けるための適用条件
- 定期健康診断(事業主健診)
- 健康診査
- 特定健康診査(いわゆるメタボ健診)
- 予防接種
- がん検診
発行してもらった領収書や結果通知書は、確定申告の際に提示・提出することになるので、無くさないようにしっかり管理しておきましょう。なお、「検診」や「予防接種」の代金は、医療費控除もセルフメディケーション税制でも残念ながら対象外なので、お間違いなく。ちなみに、検査結果の良し悪しは問われません。結果が悪くても(それも困るけど)無問題。要は健康に気を付けていることが大事なんです。

