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金融庁の次の標的は保険業界、地銀と同列扱いの憂鬱

2017年11月27日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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Photo:DW

「一体どこまで踏み込んでくるつもりなんでしょうね」

 銀行をはじめとした金融機関がそう警戒し、身構えていた金融庁の行政方針が11月中旬にようやく公表された。

 行政方針は、金融庁が金融機関の経営状況をチェックするにあたって、どのような問題意識を持ち、1年を通じて何を重点的に調べていくのかを示すものだ。

 例年9月までに公表しているものの、今年は10月になっても一向に方針が示されなかった。

 そのため、森信親長官が「在任3年目の総仕上げとして、強烈に改革を促すような方針を練り上げているのでは」と金融機関がざわつき、警戒感が日を追うごとに強まっていた。

 しかし、いざふたを開けてみると、例年より1ヵ月も公表が遅れたわりには、目新しさはほとんどなく、昨年の行政方針の延長線上にある内容が大半だった。

 目立ったのは森長官がメインターゲットに据える地方の銀行に、改めて経営改革を強く迫る文言ぐらいで、特段のサプライズもないことから、方針発表翌日のメディアの扱いも自ずと小さかった。

 身構えていた分、肩すかしを食らった格好の金融機関が多かった一方で、実は新たな行政方針に浮かない顔をしている業界がある。保険業界だ。

 一体何が保険会社を憂鬱にさせているのか。それは、保険会社は事業構造そのものに問題を抱えているのではないかという指摘を金融庁がしてきたことだ。

 少子高齢化で人口減少が進む日本において、「収入保険料の量的拡大を前提とした現在の保険会社のビジネスモデルは、全体として持続できない可能性がある」とまで、金融庁は行政方針の中で言及している。

 保険会社のビジネスモデルが岐路に立たされていることは、今夏にあった生保業界と金融庁の意見交換会の中でも取り上げられたテーマだった。

 初耳ではないため保険会社に大きな驚きはなかったものの、行政方針の中に盛り込まれたことで、現行のビジネスモデルが生み出す経営の先行き不安の程度は、“狙い撃ち”をしている地銀と同列だということが、より浮き彫りになりかつ広く周知されてしまったのだ。

 改革を促す次のターゲットが保険会社であるかのような文言は、それだけにとどまらない。

 金融庁のある幹部は、行政方針文書の10ページ目にある文言を指差し、「これは主に生保のことを念頭に置いている」と明かす。

 その文言とは「現行の営業体制等を維持しながら(顧客本位の取り組み方針を)実現することが可能かどうか」という部分だ。

「多数の営業担当者を擁し、必ずしも顧客本位ではなく、収益を優先して需要を掘り起こすプッシュ型のビジネスモデルとなっている」とも指摘しており、大手生保であれば万人単位で抱える営業職員について、今後削減することを当局として期待しているかのようにも読める。

 保険業界はこれまで、営業職員や代理店のネットワークが競争力の源泉となり、そのすそ野の広さと集票力がときに大きな政治力として機能することで、金融庁からの圧力をかわしてきた側面がある。

 その金融庁自身も、保険会社の監督業務に携わったことがある幹部が少ないがために、銀行などに比べて踏み込み不足の部分があったことは否めない。

 そうした反省の下、金融庁の新たな行政方針には、保険会社に対する積年の思いが色濃くにじみ出ており、今後改革に向けた圧力は一層強まりそうな気配だ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 中村正毅)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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