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GEがIoTで戦略見直し、顧客絞り込みで実績づくりを急ぐ理由

2017年11月27日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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電力事業の減益などのために株価—が低迷している米ゼネラル・エレクトリック(GE)が「十八番」である事業の選択と集中を進める。成長分野であるIoT(モノのインターネット)でも対象分野と顧客を絞り込み、経営資源を集中。実績づくりを最優先する。(「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)

GEが撤退を検討する鉄道車両の業界は、世界2位の独シーメンスと3位の仏アルストムが事業統合するなど再編が進む

「今までのようにあらゆる企業に提案する余裕はない。デジタル化のリテラシーが高い顧客をピックアップしていく」。GEデジタル・ジャパンのマンダール・ワヴデ・コマーシャルリーダーはIoTの新たな戦略をこう語る。

 これまでは、GEのサービスを知ってもらうために全方位的にソリューションを提案してきたが、今後は対象を絞り込み、顧客の利益に貢献する実績づくりに集中する。

 顧客の絞り込みでは、(1)GEのハードウェアを利用している、(2)デジタル化のリテラシーがある、(3)大きな利益改善が見込める――企業で、できるだけ業界の大手をターゲットにする。

 従来は「日用品メーカーなどGEの製品と関連の薄い企業も対象にして、風呂敷を広げすぎていた」(GE関係者)という。

 IoTの戦略見直しは、8月に就任したジョン・フラナリ—CEOによる構造改革の一環だ。

 GEは主力の電力事業(発電機器など)の減益により株価が低迷。収益の改善が至上命題になっている。

 フラナリ—氏は経営の簡素化を掲げており、祖業の照明事業などの売却交渉を開始。さらに、2017年第4四半期の株式配当を同第3四半期から半減させることを発表した11月13日には、鉄道事業と、石油の掘削技術を握るベーカー・ヒューズの売却を検討する考えを示した。

 今後2年で、資産ベースで200億ドル(約2兆2600億円)の事業売却を目指す。

 その上で、電力と航空エンジン、医療機器の3事業を重点分野に位置づけ、リソースを集中する。

 今回のIoTの戦略見直しは、重点3事業の収益改善と競争力強化を急ぐためのものだ。

 重点3事業のうち、電力と航空エンジンはすでにハードウェアの販売から、IoTによる運用の効率化といったソリューションにシフトしている。売り上げに占める保守サービスの比率は電力で5割、航空エンジン6割に上る。

 今後はこの比率をさらに高めるとともに、産業用IoTプラットフォーム「プレディックス」の売上高を18年10億ドル、20年12億ドルに増やしていく考えだ。

日系企業に影響も

 金融やメディア事業などから撤退するといったGEの事業ポートフォリオ見直しは、日系企業の手本とされてきた。

 そのGEがさらに事業を絞り込むことは日系企業にとっても重要な意味を持つ。

 最大の影響は、産業のデジタル化における競争が激化することだ。GEのIoT戦略見直しは、国内の電力事業でいえば、大手電力会社に対するソリューションビジネスにGEがこれまで以上に真剣に取り組むことを意味する。

 日立製作所や三菱電機、東芝といった日系企業は「IoTの最大の市場は発電の効率化だ」と口をそろえる。だが、火力発電用ガスタービンで最大シェアを握り、発電の効率化で先行するGEがさらにこの分野に注力すれば、日系企業が対抗するのはいっそう困難になるだろう。

 GEの重点化戦略に対して、日系企業のIoTが全方位的になっていることも問題だ。電力事業というボリュームゾーンをGEに抑えられているのでやむを得ない面はあるが、日系企業は物流や工場生産の効率化など幅広い分野でIoTを試みている。

 だが、GE関係者は「物流や工場は、電力分野に比べてソリューションビジネスをやりにくいことが過去の失敗から分かっている」と話す。

 日系企業が条件不利を跳ねのけて、IoTで存在感を示せるか。創造性と実行力が問われている。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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