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「ホンネテレビ」番組責任者・谷口達彦局長インタビュー:

稲垣・草彅・香取 3人の裏で流れた涙

2017年11月17日 17時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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ほぼ台本なし もしもの結婚式は……

── 番組がもっとも話題になったのは、1996年に芸能界から引退していた森且行さんと3人が再会した瞬間です。ツイッターでは「森くん」が世界トレンド第1位になりました。

 ゲスト出演者の企画コンセプトとしては、3人にとって「ストーリーがある人」ということを重視していました。「SNSを始めてみたい」とか、「この人に会いに行きたい」とか。ご本人たちとも番組を通してやりたいことを考えていく中で、「会いたい人」として森さんのお名前が挙がり、再会の企画が生まれました。

 ほかのゲストも、たとえば爆笑問題さんは、いつもすごく3人を気にかけてくれていたり、堺正章さんも、節目となる大切な機会に場所を提供されたという意味で深い関係があった。そういう形で自然に名前が挙がってきたんです。

 もちろん誰しもが目撃したいようなインパクトのあるシーンになるということを全く予測せずに作ったと言ったらウソになりますが、決して「バズらせるためには何でも」という発想ではなかったですよ。

 当時、よく社内で言ってたのは「過去ではなく、未来を向いた番組」ということでした。SNSを教えてくれる先生として登場したきゃりーぱみゅぱみゅさんとか、山田孝之さんと共演することになったのも、これからのことを考えてですよね。だから森さんと会うことも、過去を振り返るという発想ではなく、未来に向かうという発想でとらえていました。

── 3人が今までとは異なるやり方でアイドルを続ける未来ですね。

 番組の中で草彅さんが「新しい別の窓」と歌っていましたが、みなさんが過去ではなく未来を向いていらっしゃるんだと思います。3人が、学んだり、戸惑ったり、ときに頼りない場面もあったり……新しい姿、ありのままの姿を見せてくださったんじゃないかなと。

── 森さんとの再会、台本はどれくらい作られていたんでしょう。

 大まかな時間の流れは決めていましたが、細かい台本はありませんでした。「フィールドに降り立ってみたい」「バイクを見てみたい」「設備、宿舎が見てみたい」など、3人がやりたいことをもとに大枠のアウトラインを構成しているだけです。「このタイミングでこの質問をしてください」というような台本は一切作っていません。

── 番組制作側として“ほぼ台本なし”というのは怖くありませんか。

 ドキドキよりもワクワクのほうが大きかったですね。今回の番組は1本のドキュメンタリー番組のようにしたいと話していました。日本中を巻き込んで、新しい挑戦を一緒に作り上げられるドキュメンタリーに。みんなが見守って、ハラハラしたり、安心したり、感動したり、笑ったりするような。3日間の中で企画が変わったこともありました。番組を見て出演を決めてくれたゲストがいたり。時間構成は決まってるのでどうしようというドキドキ感はありましたが、それがむしろすごくネットっぽいというか。ユーザーの反応で細かなやりとりが変わっていったり、走りながらどんどん番組の形が変わっていく面白さがあった。全体的に地上波と比べて進行がユルいという人もいるかもしれないですが、長時間生放送という特性を活かした、予定調和ではない「予定不調和」な要素が大事だと考えていました。

── 稲垣吾郎さんの「もしもの結婚式」では、「花嫁役に選ばれた女性はAbemaTVの社員に似ている。台本に書かれた仕込みではないか」という指摘がありましたが。

 それはありません。嘘は必ずばれるものです。それはインターネットの会社をやっている上で心から理解していることです。当然制作会議では「相手が見つからなかったらどうするんだ」という話は出ましたが、見つからなかったら、その場でスタッフ皆で出演して欲しいと頭を下げればいいだろう、それで事前に用意したらダメだというのがぼくらの考えです。番組によっては事前に仕込みを入れることも悪いとは思いませんが、ホンネテレビではありのままを描きたかった。だから失敗することも含めて全部見せてしまいたかったんです。それがハラハラする要素だったり、面白さになったりするんですよ。

(次のページ:72曲ライブ 3人の裏で流れた涙)

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