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背景にあるのは「BtoB型事業」への業態シフト:

TSUTAYAが最近やたら閉店している件について

2017年10月16日 07時00分更新

文● O.D.A. ex. WASTE OF POPS 80s-90s

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「ご近所のTSUTAYA」が絶望的に

 閉店する店舗を見てみると、大都市圏に比較的簡単にアクセスできる住宅の駅近くに立地する店が相当多いことがわかります。ここから導かれるのはこれらの閉店は不採算店の整理ということだけではなく、もう経営側としては今の「ご近所のTSUTAYA」形態の未来に希望を持っていないのではないかという推測。

 TSUTAYAを経営するカルチャー・コンビニエンス・クラブ(CCC)経営陣は以前から「我々は企画の会社である」という発信をしてきています。

 現在CCCが推進している図書館の運営委託、代官山・湘南や枚方のT-SITEや蔦屋書店、二子玉川の蔦屋家電等の業態は、まさにその発信をあらわしているものとみなせますが、いずれもが滞在型の施設です。

 会社や学校の帰りについでに寄ってもらっては小銭をちゃりんちゃりん稼ぐのではなく、わざわざそのために来てもらう滞在型の施設で1人頭の消費金額・消費時間を最大化する方向。言い換えれば「ケ」のビジネスから「ハレ」のビジネスへのシフトが今まさに実行されている最中であるということでしょう。

 たとえば9月26日、福岡市中央区六本松地区の九州大キャンパス跡地にオープンした「六本松421」に蔦屋書店が入居しましたが、これは福岡市天神の繁華街にあったTSUTAYA BOOK STORE TENJINが6月30日に閉店して移転した形です。

 福岡市レベルの都市規模、天神と六本松という距離があれば、移転せずとも2店舗とも維持できるのではないかとも感じるのですが、意識的な業態シフトの一環と考えれば納得がいきます。

 TSUTAYAはCCCの子会社。図書館委託やモール型施設の立案は親会社直轄のCCCデザインカンパニーによるもので、後者こそが企画会社としての理念を色濃く反映しているものと言えるでしょう(もちろん企画会社にシフトするまでにはTSUTAYAチェーンの大きな売上が不可欠だったわけですが)。

 日本はCD・DVDのパッケージがいまだに根強く支持されている、世界的にも稀有な国です。しかしいま日本国内でも、本格的なCD・DVD業界の衰退を見越してか、TSUTAYA以外のチェーンでも新しい動きが起きています。

※編注:CCCは公式サイトでも情報コーナー「CCCの企画」を設置。武雄市図書館のほか、ガストの新メニュー開発など、さまざまな分野での企画・運営・マーケティング事例を紹介している

(次のページ:大手が業態転換を進めるもののCCCが「一強」に)

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