このページの本文へ

【ツール・ド・東北 2017】奥松島グループライド&ハイキング参加レポ

2017年10月08日 16時00分更新

文● 佐藤ポン 編集●ASCII編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

日本三景のひとつ「松島」を自転車で巡る

 エイドステーションを後にしてしばらくしたら、走行管理ライダーの言うとおり、一気に車通りが少なくなった。市街地から外れたのだろう。地図を詳しく見てこなかったのでどこを走っているのかわからないが、なんとなく潮風を感じられる。近くに海岸線があるのか!? そんなことを考えながら走っていると、海が見えてきた!

 脇見運転は危険なので禁止されているのだが、どうしても視線が海にいってしまう。本当にキモチがいい!! 当然、テンションが高まっているのは筆者だけではなく、他のグループメンバーもそわそわしている様子。こんな体験ができただけでも、大会前日の夕方、自転車を輪行バッグに詰めて新幹線で東北まで移動したかいがあったというものだ。「もっとゆっくり海を見たいなぁ」などと思っていたそのとき、2番目のエイドステーション「月浜海水浴場」に到着した。コース設計をしている方は、我々の心理を読み抜いているのだろう。恐るべし。

 自転車を停めて水をもらい、地図を見るとビックリ。ここは奥松島の先端だった。堤防を登ると目の前にはきれいな海水浴場が広がっていた。ここでも10分ちょっと休憩したら、すぐに出発時刻となった。

エイドステーション「月浜海水浴場」は、その名の通り美しい海水浴場。夏に来てみたい!

 次に到着したエイドステーションは、月浜海水浴場からわずか3km先にある「あおみな」。ここは奥松島の大高森の登山口と、遊覧船の発着所がある多目的施設。昼食とハイキングを兼ねた休憩なので、1時間弱という長めの滞在時間がもらえた。施設を見学しながらエイドステーションのテントに行くと、名産の「サラダのりうどん」を配布していた。

 皇室に献上している名産品の海苔を練り込んだうどんなので色が黒い。しかもなんと、テントで配布している人物をよく見ると、スタートセレモニーに登壇していた東松島市の渥美巖市長! 市長自らが「ツール・ド・東北」に参加したライダーに「美味しいですよ! 食べていってね!!」と名産品をアピールしている姿は印象的だった。

エイドステーション「あおみな」は、奥松島の複合施設

 「あおみな」エイドステーションの滞在時間が長いもうひとつの理由は、コース名にもなっている「ハイキング」をここで楽しめるから。東松島市の宮古島にある「大高森」は標高105mの山で、松島四大観に数えられる絶景ポイント。頂上の展望台からは260あまりの島々を一望できるようだ。いいかげん脚に疲労がたまりはじめた筆者だったが、これは遊びじゃなくて取材なので登ってみた。確かに美しい! 次回はライドではなくて観光で来たいと思った。

山道をぐんぐん登っていくと展望台。美しい景色で疲れが和らぐ!

楽しいだけではない、東日本大震災の爪痕が残る街を巡る

 休憩が終わると12人のグループは再集結し、次の目的地「東松島市震災復興伝承館」へ。実はこの施設、東日本大震災以前はJR仙石線の野蒜(のびる)駅だった場所。駅舎は2011年3月11日の津波で破壊されてしまったため、震災の記憶と教訓を伝承するための施設として新たに建設された。

 このエイドステーションは、休憩というよりも語り部(かたりべ)たちから当時の様子や体験談を聞くという意味合いが強い。今日1日、いままでは「たのしい! きれい! 美味しい!」と明るい話題ばかりだったが、震災の惨状を耳にして、参加者たちの眉間にしわが寄る。震災復興伝承館の裏手には被害にあった旧野蒜駅の姿がそのまま残っているため、見学も可能だった。

語り部のみなさんから当時の体験談を聞く。建物には「津波浸水ここまで 3.7m」と、マークが記されている。想像を絶する高さだ

旧JR野蒜駅のホームは見学可能。ひび割れたホームや曲がった線路が痛々しい

 さらにここから約3km先、次の休憩ポイントは「ツリーハウス」。自然保護活動を行なう小説家C・Wニコル氏が運営する「C・Wニコル・アファンの森財団」が、東松島の子どもたちをケアすることを目的とし、2012年10月から地元市民とともに行なっている震災復興プロジェクト。森を手入れすることにより、近隣にある東松島市宮野森小学校の教育フィールドとしても使われているそうだ。

C・Wニコル氏が主導する震災復興プロジェクト「復興の森」

「Tree Dragon」は、森の木を組み合わせて作った巨大なシンボルタワー

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

ASCII.jpメール アキバマガジン

クルマ情報byASCII

ピックアップ