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マイホームを夢見る若者たちが陥る「資産価値暴落」の地獄

2017年09月28日 06時00分更新

文● 清談社(ダイヤモンド・オンライン

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2013年に国土交通省が発表した『土地問題に関する国民の意識調査』によると、「土地・建物の両方を所有したい」と答えた人は79.2%。世代別に見ると、20~29歳は65%以上が土地と建物の両方を所有したいと思っているという結果が出た。しかし、土地価格が上がる見込みがまったくない現在、マイホームを購入することは、もはや“条件の悪すぎるギャンブル”だ。今の時代に家を買うことがどれだけリスキーなのか、ファイナンシャルプランナーの小屋洋一氏に詳しく話を聞いた。

長期間の借金を
一生背負い続ける覚悟はあるか?

少子高齢化の進むこれからの日本では、不動産価格が跳ね上がることは基本的に期待できない。身の丈を超えた借金をしてまでマイホームを手に入れてしまうと、老後に現金が不足しても、思った値段で家が売れずに苦しむリスクがある

「家の購入を、スマホやパソコンと同じように単純な買い物と考えている人は多い。ですが本来、家を買うということは、大金を使って投資していることと同じです。たとえば、1000万円の家でも、頭金100万円あれば購入できたりしますよね。株式投資でいうところの、借り入れをしてレバレッジをかけて運用していることと同じ事になります」(小屋氏、以下同)

 頭金を支払った後は、数十年の間、住宅ローンという負債を抱えるのが一般的だ。しかし、多くの場合は“住む”ことだけに意識が向いているため、住宅ローン=負債という感覚があまりない。そのため、損する不動産選びをしているケースが非常に多いと小屋氏は言う。特に不動産知識のない若者世代は危険だ。

「日本人は新築に対するこだわりが非常に強いです。でも、不動産の多くは時間経過によって、資産価値がどんどん落ちていきます。2000万円で買った家が、20年後には半分になってしまうなんてことは、よくあります。購入する際に、資産価値の減少は予測できることなのですが、大抵『ここに住みたい』という感覚で家の購入を決めるので、損することに意識が向きにくいようです」

 そもそも、マイホーム信仰が生まれたのは、戦後の国の政策がきっかけだった。第二次世界大戦が終わった昭和20年代の日本では、家の数は圧倒的に少なく、さらに経済状況も悪かった。そこで、経済を発展させるために推進されたのが、個人の戸建ての購入だった。

同じ家に一生住み続けるのは
難易度が高い行為

 家を買うこと自体が大きな消費であると同時に、家具を揃えたり、水道や電気を引いたりと副次的な消費も大きかったため、戦争で弱った国を繁栄させるには、積極的に推奨していく必要があったのだ。そんな中で、家を買った人たちに、やがて思いがけない幸運が訪れる。バブル期の突入だ。

「資産運用など一切考えずに買った家や土地が、瞬く間に高騰していったんです。1000万円で買った土地が、一晩で何倍にもなったわけですから、こんな成功体験ないですよね」

 ところが、周知の通り、バブルはあっという間に終焉を迎える。地価が最も高かった1992年頃に家を買った人たちの多くが、不動産で痛い目を見る結果となった。

 とはいえ、不動産投資が目的でない場合、ほとんどの人は、一生住み続けるつもりで家を買うため、資産価値が下がることをそれほど大きなデメリットと感じない。しかし、小屋氏いわく「特に若者世代には、“一生住む”という価値観を見直してほしい」と言う。

「同じ家に一生住み続けることは、意外と難易度が高いことです。たとえば、今勤めている会社で、ずっと働き続けるのでしょうか? 終身雇用制度が当たり前の時代は終わりました。もしかしたら独立や起業をするかもしれません。他社からの引き抜きで海外勤務なんてことも考えられます。そんなとき、住宅ローンがあるせいで、金銭面の折り合いがつかずにそれらの選択肢が失われるとしたら、非常にもったいないのです」

 家を買うことが、若者たちの足かせになってしまうかもしれないのだ。それでもどうしても家を買いたいなら、「買う不動産をよく見極めて」から。

「住宅ローンは、あらゆる借金の中でも、特に有利な条件の借金です。何十年という長期ローンで、金利1%なんて、ほかにはありません。そのため、資産価値の下がりにくい物件を掘り当てれば、蓄財できる可能性はあります」

少子高齢化ニッポンでは
土地の価格はもう跳ね上がらない

 ただし、“掘り出し物”物件に遭遇するのは今の時代、かなりの至難の業であることを覚悟しなければならない。

「少子高齢化社会の進む日本において、土地の価値が跳ね上がる可能性はほぼゼロです。プラスマイナスゼロになれば、十分と考えてもいいくらいです」

 家を買う際の判断基準として、資産価値を考えることは重要だ。ただし、感情を優先して家を買うことが間違っているわけではない。

「しっかり計算をすれば、運用としての損得は事前に計算できます。でもそれ以上に、その街が好きだったり、家の外観に惹かれた、日当たりの良さが最高など、家そのものの価値を優先させる考え方も、もちろん正解です。遠方へ転勤になったとしても、人に貸すという方法もあります」

 家を買うにしろ買わないにしろ、お金の価値や資産についての勉強が必要だと語る小屋氏。一番危険なのは、身の丈を超えたローンを組んで家を買い、老後に現金が不足するといったケースだ。買った後になって、「もっと調べるべきだった」と後悔しても遅い。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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