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不人気資格の不動産鑑定士が「穴場国家資格」に一変!?

2017年09月26日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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去年11月、国土交通省と早稲田大学、日本不動産鑑定士協会連合会が初の鑑定士の広報セミナーを開催。地方でまだまだ不動産鑑定士は苦境にある Photo by Hirofumi Nishida

 文系最難関の“国家資格”として、弁護士、公認会計士と並び称されるのが「不動産鑑定士」(以下、鑑定士)だ。土地や建物の価格を評価する不動産鑑定評価を“独占業務”で行う。

 公認会計士、税理士試験と傾向が似ているため、受験者はこれら合格常連校の慶應義塾大、早稲田大、中央大、明治大、同志社大、立命館大などの出身者が多い。

 なんと、この鑑定士試験の2016年の受験者数が10年前に比べて3分の1に激減してしまったのだ。一体、不人気の理由は何か。

 原因は鑑定士になるための試験の難しさにある。東京都内のある鑑定士は「10年前に短答式・論文式の新試験が導入された当初こそ、受験者が激増した。しかし、論文式があまりに難し過ぎて合格率が低く、受験を断念する人が増えたから」と話す。

 難関をくぐり抜けて鑑定士になったとしても、地方では報われない。東京、名古屋で不動産鑑定士事務所を運営する桜木不動産コンサルタントの武藤悠史取締役は、「鑑定士業界は大都市部に大手事務所が数社。ほか、大部分が3人以下の事務所。中小の場合、1事務所当たりの売り上げも年間700万円前後と少ない上、特に地方では公共事業の減少で苦しくなっている」と明かす。

 受験者激減と地方での苦境に加え、全国に約8000人という、他士業に比べて高い希少性……。今や鑑定士は“絶滅危惧士業”とさえいわれている。

人手不足、企業が狙い目

 だが、ここにきて都心部の状況が激変した。「不動産業界の好況で、大手鑑定士事務所を中心に、仕事が増加。35歳前後までの若手合格者に対しては人材獲得合戦になっている」(前出の鑑定士)のだ。

 半面、試験は難し過ぎて(2次の論文式試験合格率が1割台)受験者が伸びないままだ。

 残された時間は少ない。鑑定士は高齢化が顕著で、登録者の4割超が60歳以上なのだ。このままいけば、不動産価格の鑑定に時間がかかるようになり、遺産相続にも影響してしまう。

 そこで、16年から国土交通省が受験制度改革に乗り出した。従来よりも各科目の問題の難易度を下げ、受験対策をしやすくした。そして、今後は税理士のような科目別の合格制度が導入される可能性も高い。

 さらに、国交省では不動産鑑定士の業務拡大も議論されている。具体的には個人の動産評価や、農業法人関連の業務への進出だ。今後は企業に雇われる企業内鑑定士も増えるといわれ、資格としての伸びしろは大きいのだ。

 いずれにせよ、科目別になれば、複数年と時間をかけて受験できる上に、取得後の業務も広がるとあり、一転して、今度は社会人にとっての“狙い目国家資格”に生まれ変われる可能性を秘めている。

(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 西田浩史)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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