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ソニーが4Kの3D手術用顕微鏡で狙う「医療事業2000億円」

2017年09月25日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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執刀医が頸椎を痛めることも多いという微細手術を、抜本的に改善することができるという4K3D手術用顕微鏡システム。果たしてその真価は

 社運を懸けた新規事業の“本命”となるのだろうか。ソニーとオリンパスの医療合弁会社、ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ(SOMED)は、高精細な4K技術を応用した3Dの手術用顕微鏡システム「オーブアイ」を開発した。販売はオリンパスが担当し、日本と米国で10月から販売を開始するという。

 手術用顕微鏡とは、脳神経外科などで手元を拡大しながら微細手術を行うために用いる機材。現在は執刀医が両目でのぞき込みながら操作する光学式のものが普及している。長いときには十数時間接眼レンズをのぞき続けることになるほか、他のスタッフは手術の進行状況を把握できないなどのデメリットがあった。

 オーブアイはヘッドの大きさを光学式の従来品の10分の1以下に、アームの細さも4分の1まで小型化した。従来は、20キログラムにもなる巨大なヘッドを動かしてのぞき込みながら手術をするスタイルだったが、オーブアイを使うと、片手でヘッドを操作して術野を大型4Kモニターに映し出し、3Dグラスを装着して、執刀医とスタッフが同じモニターを見ながら手術を行うことができる。

 光学式の手術用顕微鏡は独カール・ツァイスと独ライカマイクロシステムズの2社がほぼ寡占する市場で、オリンパスは2%程度のシェアしかない。オーブアイの投入で20%のシェアを狙うというのだから鼻息は荒い。価格帯を光学式と同様の4000万円台に抑え、市場普及を狙う。

医療では不可欠な4K映像

 オリンパスとの資本業務提携から5年。ソニーは現在策定中の次期中期経営計画で、医療事業を成長戦略の柱として位置付ける予定だという。SOMEDは2015年に4K外科手術用内視鏡を発売したが、「全ての手術室の既存製品を置き換えるなど大型商談が相次いでいる」(田口晶弘・オリンパス専務)など引き合いは多い。

 ソニーにとって医療事業の確立は今後の死活問題だ。というのも、医療はソニーが培った技術の有望な受け手となるからだ。スマートフォンへの搭載が主用途のCMOSセンサーや消費者向けの4Kテレビでは、今後の市場飽和が予測される。だが、まさにこうした技術が今後、必要不可欠とされるのが医療分野なのだ。「モニターやカメラなどの単体を持っているだけではこうしたデジタル手術用顕微鏡のシステムは実現できない。トータルでそろえているのはSOMEDだけ」とSOMEDの津末陽一社長は自信を示す。

 オリンパスとの提携時に平井一夫・ソニー社長は「20年までに2000億円の事業規模を目指す」と表明した。今回の戦略製品がその“野望”達成の一助となるのか。鳴り物入りで参入した医療事業での真の実力が問われるのはまさにこれからだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木洋子)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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