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暑さが厳しくなっていくこの季節、気になるのがニオイの問題。スーツやネクタイなどの身だしなみに気をつかう人は多いものの、体臭や口臭をマメにチェックしている人はどのくらいいるだろうか。スーツやネクタイのセンス以上に、ニオイをチェックしている女子社員はとても多い。何気なく放っているそのニオイで、知らないうちにまわりから嫌われているかも…。(取材・文/フリーライター 吉永麻桔)
ニオイをチェックすることも身だしなみのひとつ
「ずっと言いたかったんですけど、Dさんのニオイ、どうにかならないですかね」定例ミーティングが終わろうとしていたところ、同僚のC子が突然切り出した。びっくりしたものの、心の中で「よく言った!!」と拍手を送ったのは私だけではなかっただろう。
「外出先からDさんが戻るとニオイで分かる」と、以前から女子社員の間で話題になっていた。筆者も隣の席だったことがあるのだが、正直かなりキツいものがあった。どんなニオイだといわれると表現が難しいのだが、明らかに何日も洗濯していない衣類を着用し、そこに加齢臭がプラスされている…といったところだろうか。ある女子社員は「ボロ雑巾のニオイ」と表現していたが…。
C子の主張はこうだ。「取引先との会議でDさんが同席するとき、毎回恥ずかしい思いをしています。あの強烈なニオイを先方が気づかないわけがない。清潔感のない社員がいる会社だと思われるのは、かなりマイナスだと思うのですが…」。
キツイ体臭や口臭で精神状態も左右されてしまう
以前某テレビ局の番組で興味深い事実を発表していた。「女性は男性に比べて嗅覚が敏感」だというのだ。女性はアロマテラピーなど、ニオイでリラックスを求めることも多いので、確かにそのとおりかもしれない。好きなニオイをかぐと気持ちが落ち着く一方で、嫌なニオイをかぐとイライラが増すことは、Dさんの隣に座った経験で実感している。忙しいときに、Dさんが外出や出張をしているとホッとしたものだ。
「たかがニオイぐらいで大げさな…」と思うかもしれないが、先ほどのC子が主張していたように、外部の人と接するときには意外に大きな問題に発展する可能性がある。
実際に筆者が経験したのは、新しい提案をするためにやってきた営業マンの口臭がかなりキツかったときのことだ。彼が熱心に説明をすればするほど、息を止めなければやっていられないキツさを想像してみてほしい。いくら素晴らしい提案でも「もうしゃべらないで!」という気持ちが先に立ってしまい、話を聞く気になれない。彼には早々にお引き取りいただいたのを覚えている。
口臭に関しては、ランチ前など空腹時にキツくなることがあるのを忘れてはいけない。採用担当のGさんは、身だしなみにはそこそこ気をつかっているのだが、ランチ前に口臭がキツくなると女子社員の間で話題になった。ランチ前のGさんに会議室に呼ばれることを「悪夢の会議室」と呼ぶ女子社員もいたほどだ。Gさんがランチ前に採用面接をした人が入社辞退をしていないか、気になるところだ。
キツい香水や柔軟剤のニオイも嫌われる
ある日の午後、E子がマスクをしていた。午前中はマスクをしていなかったのにどうしたのかと聞いてみると「Fさんの香水のニオイ…気になりませんか?」。確かに午後Fさんが戻ってから、独特のニオイがするなと感じていた。「あんなに香水をつけまくる意味、あるんですかね?キツい香水のニオイもスメルハラスメントですよ。だってニオイって好き嫌いがあるでしょ?」E子は顔をしかめて言う。
E子はさらに続ける。「そういえば私の兄、なぜだかわからないんですけど、柔軟剤のニオイをキツくしたがるんですよ。積極的に洗濯をしてくれるのはありがたいけど、柔軟剤を入れ過ぎるから洗った服が強烈なニオイになるんです。この間、とうとうキレた父が『お前は洗濯機を回すな!』って怒鳴っていましたよ」と苦笑する。「兄も会社で女子社員に『柔軟剤のニオイがキツ過ぎる!』って言われてるんじゃないですかね~。そろそろ忠告してあげようかな」
ニオイを気にしてつける香水も、洗濯をするときの柔軟剤も、ほどほどにしたほうがよさそうだ。
ニオイであなたの評価は急降下!
体臭がきついDさんも、口臭に問題がある営業マンも、決して悪い人ではなかった。むしろ仕事熱心で好感が持てるタイプだ。Fさんにいたっては、ニオイを気にしているからこそ、香水をつけすぎてしまったのだろう。それなのに、嫌なニオイや、香水のニオイがキツすぎるせいで、周囲から冷たくされ、評価が急降下してしまう現実がある。「Dさんの近くでランチを食べるのは無理」と言ってDさんを避ける女子社員も実際にいたし、営業マンも口臭が原因で契約を取り損ねてしまったとなれば「たかがニオイ」ともいっていられないだろう。
先ほどのC子は「Dさんのニオイは、気のゆるみだと思うのです」と言う。「きちんとワイシャツを洗えばいいわけだし、今は体臭を予防するためのボディソープも数多く販売されている。きちんとやらないのは、このぐらいは大丈夫だろうという甘えだし、そういう甘えは仕事面にも出てくると思います」。
C子の主張を聞いて、みんなでDさんにさりげなく注意をしてみたところ、Dさんのニオイは少しずつ改善され、女子社員のDさんへの対応にも変化が出てきた。
ニオイひとつであなたの評価は急降下する。しかし、いつも清潔に、そして香水や柔軟剤の力を借りる場合はほどほどにすることを心がければ、避けられることなのだ。
※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら
