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世界的なEVシフトに日系メーカーが静観・逆張りする理由

2017年09月18日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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新型「マツダ CX-8」 XD L Package 写真:マツダ

 ガソリンやディーゼルなど伝統的な内燃機関車への逆風が止まらない。

 英国とフランスが今年7月、2040年までに内燃機関車の販売を禁じる方針を表明したのに続き、中国も禁止の検討に入ったことが先週、一斉に報じられた。

 国営新華社通信によれば、中国工業情報化省の辛国斌次官が9日、天津で開かれたフォーラムで、英仏などの政策を踏まえ「われわれも同様の検討を始めた。わが国もロードマップを作っていくことになる」と述べたとされる。

 世界最大の新車市場である中国から仮に内燃機関車が締め出されれば、日系メーカーへのインパクトは計り知れず、あるメーカー幹部は「次官発言の真意をすぐに現地に確認させた」と明かす。

 次官発言はあくまで検討段階にすぎず、その実現性は不透明だが、中国共産党大会前の発言だけに「党の決定事項である可能性を否定できない」と、関係者は戦々恐々としている。中国は早ければ来年にも自動車メーカーに一定の電気自動車(EV)などの販売を義務付ける方針であり、国策としてEV産業強化の方向で進むのは間違いない。

懐疑派も少なくない日本

 独フォルクスワーゲンによるディーゼルエンジンの排ガス不正問題に端を発したEVシフトは、各国政府の政治的な思惑も絡んで今や全世界を席巻し、リチウムイオン電池の素材などEVに関わる企業株は高騰を続ける。

 一方、伝統的なエンジン技術に強みを持つ日系メーカーには「EVは電池の消耗やインフラの問題があり、すぐに広まるわけではない。今は実力以上に期待が膨らんだバブルにすぎない」という懐疑的な見方が多いのも事実だ。

 EV関連銘柄についても、一部の投資家には「バブルがはじける前に売り抜こうと、その兆候を探している」(アナリスト)といった動きもある。

 またEVよりもむしろ内燃機関の開発に注力するマツダのような“逆張り”戦略も際立つ。

 EVは走行中の環境性能は優れているが、電気をつくる火力発電所で大量のCO2を排出する。そこで“ウェル・トゥー・ホイール”(燃料採掘から車両走行まで)の視点から、「再生可能エネルギーを使っていない地域では、むしろ内燃機関を徹底的に改善する方がCO2削減に貢献できる」(工藤秀俊商品戦略本部長)というのがマツダの考え方だ。マツダが12月に国内で発売する3列シートのクロスオーバーSUV「CX-8」は、燃費効率とトルクを同時に向上させたクリーンディーゼルエンジンを搭載する。

 日本以外の主要国「政府」の主導で始まったEVドミノ。想定以上のスピードで巻き起こったEV旋風に、守り一辺倒だった日系メーカーの戦略の本気度が問われている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 重石岳史)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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