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承認欲求が強い部下は「おだてない」「無視しない」

2017年09月10日 06時00分更新

文● 松永美樹(ダイヤモンド・オンライン

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異なる世代や環境の人と、リアルにコミュニケーションを取ることを苦手とする若い世代は、自らの生活をSNSで拡散し共有し、「いいね」で共感してもらうことを好みます。その理由としては、「承認欲求」が満たされるからと言われています。普通に暮らしていれば、単調で取るに足らない一日が続くのがむしろ当たり前です。しかし彼らは、毎日のようにおいしそうな食事や美しい景色、心躍るような仲間とのひとときを公開します。その姿は、時に「必死で幸せそうに見せている」ようにも見えます。このように「承認欲求」の強い若い部下を上司としてどう扱い、いかに力を発揮させるかを考えたいと思います。

自分自身を認められないから
他人には承認してもらいたい

 承認欲求とは、「人から認められたい」と思う感情のことです。人との関わりなくしては生きられない人間にとって、当たり前の欲求のような気がします。けれどもあまりに強い承認欲求は、自分自身を苦しめることになります。中にはコンプレックスのかたまりで自分自身を認められないために、他人から認めてもらうことで心のバランスを保っている人もいます。

 上司としては、プライベートでの孤独を埋め合わせるために認めてもらうことを熱望している部下を、満足させるのは荷が重いことです。部下が「ほめられることの効用」を得るためには、上司が「本心から感心する」態度が必要なので、部下本人が変化しなければいつしかほめる「ネタ」が枯渇してしまうでしょう。そうすると上司は根拠のない承認を続けることになり、結果として部下を甘やかすだけとなり、最終的にはかえってやる気をなくさせる恐れがあります。

承認欲求を「他喜力」に変えれば
自己承認も難しくなくなる

 自己承認が苦手な人の承認欲求を満足させるには、成功体験を積み上げて自信をつけさせるしかありません。小さな声がけやちょっとしたほめ言葉で、すこしずつ誘導してチャレンジさせる機会を作ります。

 A君は元来明るくてコミュニケーションも上手に見えるタイプですが、初めての仕事に取り組むときには、失敗することを恐れて消極的になりがちです。上司のB課長は、A君の自信のなさそうな態度と、ちょっとしたことでもほめるととても嬉しそうな様子になるのを見て、承認欲求の強いタイプかなと感じました。

 B課長は、こまめに声をかけ「期待している」ことを伝えながら、仕事のハードルを少しずつ上げていきました。「成功体験」を獲得させることが目的ですから、A君をフォローしながら、なんとかひとつずつクリアさせるようにしました。そのうちに職場でも「なかなか頑張っているな」と思われるようになり、本人も自信を付けた様子で張り切って仕事をこなすようになりました。

 ほめられることを欲している人は、マイペースな人に比べて頑張りが利くことがあります。自分を喜ばす「自喜力」よりも他人に喜んでもらいたいと思う「他喜力」が勝る人の方が、自分の力を最大限に発揮できると言われています。過度な承認欲求というやっかいなものを「他喜力」に変えることができれば、人の役に立つ自分自身に満足できるようになり、自己承認も難しくなくなります。

ほめるレベルにない部下を
無理におだてても意味がない

 部下の過剰な承認欲求を目の前にした時、上司としては応えてあげたくなるかもしれませんが、ここで判断を間違えないようにしたいものです。客観的に、部下の仕事のパフォーマンスが称賛に値するかを冷静に判断する必要があります。

 部下の仕事がほめるに値しないレベルであれば、無理にほめて(おだてて)あげることは本人の成長にとってマイナスでしかありません。むしろ、こうやればできるようになる、と親身になって相談に乗ってあげる姿勢が大事でしょう。もちろん、部下が頑張ったなと思えれば、もったいをつけることなくほめてあげたほうがよいのは言うまでもありません。

「うちのボスは自分を見ていてくれる」「頑張ればかならず認めてくれる」といった信頼感は、部下のやる気に直結します。承認欲求が強い部下は、上司にとってやや面倒くさい存在かもしれません。見捨ててしまうことは簡単かもしれませんが、根気よく向き合って、いつか本人が自己承認できるように導いてあげることを心がけていただきたいと思います。

(フリーライター 松永美樹)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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