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若者の消費離れを加速する深刻な4つの要因

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 11月14日に発表された7~9月期のGDP(国内総生産)は前期比、実質で0.5%増、年率換算で2.2%増と、回復基調にあるように見える。ただ、貢献したのは輸出だけ。GDPの約6割と最大の割合を占める民間(個人)消費は0.1%増と、低空飛行を続けている。

 2014年4月の消費増税から1年半以上もたったのに、なぜ、消費は低迷を続けているのか。特に、若年層の消費が鈍い。

 三菱総合研究所の阿部淳一主席研究員は、若年層の消費低迷には、四つの要因があると分析する。

 第一が「何となく不安の時代」(阿部氏)。三菱総研では11年から「生活者市場予測システム(mif)」をスタートさせ、毎年、3万人を対象にアンケート調査を実施している。それによれば、東日本大震災後の11年6月調査と今年6月調査を比べると、将来の生活に不安を抱いている人の割合は、ほとんど低下していない。中でも、20代、30代の若年層では、「とても不安」と答えた人の比率が、全体の比率よりも高い(図参照)。

 一方、不安の内容は大きく変化。「景気低迷が続き、高い失業率や就職難が恒常化する」が、56%から29%へと大きく低下しているのに対して、「高齢化による医療・福祉・年金等への不安」は、58%から54%と水準が高いままだ。

 第二が「賃金の上昇が不安心理を払拭するほど力強くない」(阿部氏)こと。日本総合研究所の調査によれば、可処分所得の伸び率が雇用者報酬の伸び率を下回っている。要は、名目の給与の増加ほどは、社会保険負担増で、手取りが増えていないのだ。

 第三は、日本企業が若年層を引き付ける商品やサービスを生み出せていないこと。この面ではスマートフォンの独り勝ちだ。スマホに消費支出が集中した結果、まずデジタルカメラ、次いでPCの販売数量が、前年割れに陥った。

低欲求と保守化が特徴

 第四が若年層の意識、ライフスタイルの変化だ。阿部氏は「低欲求と保守化」が、若年層の特徴だと指摘する。mif調査によれば、自動車を保有していない人の比率を11年と16年で比べると、20代で29%→30%、30代で19%→26%と上昇し、衣類のブランド志向は、20代で43%→34%、30代で35%→34%と低下している。日本総研の下田裕介副主任研究員は「若者の間では堅実、節約家であることはクール、カッコいいという風潮がある」と言う。現在の20代、30代は人生の過半を「失われた20年」が占めているため、こうした意識の変化が起きている可能性がある。

 意識変化は構造的な変化である。もし持続的な賃上げと社会保障制度の改革が実現しても、構造変化が勝っていれば、消費は大きくは回復しないかもしれない。日本の消費の風景は、いま大きな転換点を迎えている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 原 英次郎)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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