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小林製薬傘下、桐灰化学の「めっちゃ熱いカイロ!マグマ」 Photo by Masataka Tsuchimoto |
小林製薬傘下で、使い捨てカイロ国内シェアトップの桐灰化学(大阪)が今秋、長年苦戦してきた東日本でのシェア拡大に本腰を上げる。
手にする武器は「めっちゃ熱いカイロ! マグマ」(10個入り、本体価格税抜き700円)。一応断っておくが、「めっちゃ」とは関西弁で「すごく」とか「とても」という意味だ。
その名の通り、この商品とにかく熱い。桐灰化学のスタンダードタイプのカイロの最高温度が65度なのに対しマグマは73度。平均温度はスタンダードタイプの51度に対して61度。温度が高い分、熱を発する化学反応が早く進み、持続時間はスタンダードタイプの半分の12時間。「熱しやすく冷めやすい」というオチまでつくのだ。
実は「マグマ」に似た商品は既に他社から発売されている。だが売れ行きは、「それほど芳しくないようだ」(業界関係者)。そのことを意識してか桐灰化学は目立つイラスト、インパクトの強いネーミングで「良さをPRすれば潜在的需要を掘り起こせる」と強気だ。
それにしてもこのような熱いカイロの需要がどこにあるのか。桐灰化学は「本当に寒いときの屋外対策」として屋外作業、スポーツ、スポーツ観戦などでの需要があると見込んでいる。
西日本では強いが……
使い捨てカイロは東日本と西日本で販売シェアがきれいに分かれるおもしろい商材だ。
この業界の国内大手と言えば、1915年創業の桐灰化学以外にマイコール(栃木)、ロッテ(東京)、アイリスオーヤマ(宮城)など。桐灰化学によると、同社の国内シェアは3割弱だが、メーカーが乱立しているため、それでも国内トップシェア。特に西日本で強く、西日本各地域で約5割~7割。いずれもトップシェアを誇る。
だが、東に行けば行くほど旗色が悪い。中京でシェア約3割。首都圏で約1割。東北、北海道でも首都圏同様に苦戦している。
大手では桐灰化学のみ西日本に本社がある。昔からある商材ゆえに、現在の地域別シェアは、“地政学的優位性”が働いた結果のように思われるが、「販路、プロモーション、商品構成など複合的なものなので……」と桐灰化学。一言では語れない背景があるようだ。
桐灰化学は東日本での展開に手をこまねいていたわけではない。これまでも「香るカイロ」(2013年発売、現在は生産終了)などを武器に、東日本に攻め入る機会は窺ってきた。しかし、東日本勢の高い壁に跳ね返されてきた。
マグマは9月6日全国発売。実際に多くの店頭に並ぶのは、寒さを感じ始める秋以降の見込みだ。桐灰化学は「マグマを突破口に、東日本での桐灰化学ブランドの認知向上を図りたい」と鼻息が荒い。
商品コンセプトの奇抜さはもちろん、大阪色の強いネーミングが東日本でどこまで受け入れられるか。シェア激変のめっちゃ熱い戦いになるのか。見ものである。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 土本匡孝)
※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら
