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日本に続き韓国も、ガス産出国有利の“LNG不平等条項”に反旗

2017年09月05日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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韓の公取委が産ガス国に反旗を翻した。「仕向け地条項」の撤廃はLNG取引市場形成の一助となるかもしれない Photo:REUTERS/アフロ

 日本の動きが韓国に飛び火した。韓国の公正取引委員会が、LNG(液化天然ガス)の輸入契約における「仕向け地条項」の違法性を調査しているとの現地報道があったのだ。

 仕向け地条項とは、ガスの買い手である電力会社やガス会社が、売り手(産ガス国)からLNGを購入する際に契約書に盛り込む約束事のことをいう。あらかじめ、買い手はLNG船の仕向け地(目的地)を指定され、第三者への転売が制限される。産ガス国が買い手ごとに供給量と価格をコントロールできるという、売り手有利の“不平等条項”である。

 韓国に先んじて、日本も同様の見解を示したばかりだ。この6月末、日本の公取委はLNG取引に関する調査報告書をまとめている。それには、LNGの引き渡し地点を出荷基地とするFOB(Free On Board)契約において、「(産ガス国が)仕向け地条項を規定することは独占禁止法上問題となる恐れがある」と盛り込まれた。

 日本は世界1位の、韓国は同2位のLNG輸入国だ。そのツートップが時を同じくして、産ガス国に反旗を翻した。その背景には、産ガス国への根強い不信感がある。

 日本の場合で説明しよう。まず、「価格」が高い。2008年以降、天然ガスの価格は米国・欧州で下がる一方なのに、原油価格と連動する日本では高止まりしている。

 次に、日本の電力会社やガス会社のそれぞれが、どの程度の「量」を調達すべきなのかが読みにくくなっている。電力・ガスの自由化で競争が激化したことにより、各社の需給の見通しが不透明化しているからだ。仮にLNGが余ってしまった場合、仕向け地条項により転売が制限されているため、電力会社・ガス会社の経営へのインパクトは甚大だ。

ライバルはシンガポール

 それを懸念した日本政府は、16年に市場戦略を策定し、仕向け地条項の撤廃を求めていく方針を固めていた。日韓の公取委の“反旗”に、買い手側の電力会社やガス会社は「これで健全な取引ができるようになる」と胸をなで下ろしている。

 だが、喜んでばかりもいられない。世界のLNG需要は、14年の2.5億トンから20年には3.5億トンへと激増する見込み。日本は需要をけん引するASEAN諸国や中国との調達競争に挑まなければいけない。

 日本政府は、世界の輸入量の3割を占める消費国としての強みを生かし、日本がLNG取引市場の“ハブ(中枢)”となる方針を明確にしている。目下のところ、ライバルはシンガポールだ。

 ある業界関係者は、「今回の仕向け地条項の撤廃は、日本がLNG市場を形成するための大きな第一歩」と歓迎する。とはいえ、長期契約から短期契約・スポット取引への移行、トレーダーの育成など、日本がLNG取引の主役となるための課題は山積している。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 堀内 亮)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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