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パートナーに異常な嫉妬や妄想を持つ「オセロ症候群」の恐怖

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ふとしたことで、「もしかしたら、恋人(配偶者)が浮気をしているかも」という不安に駆られた経験はないだろうか?男女の関係性において嫉妬や不安という感情は時にスパイスとして働くが、往々にしてケンカの発端や、別れのキッカケとなることのほうが多く、悪感情であることは間違いない。そんなパートナーへの猜疑心、実は病気からきている恐れもあることをご存知だろうか。(清談社 藤野ゆり)

嫉妬に狂い自殺未遂まで
「オセロ症候群」の恐ろしさ

「彼はいつでも優しかったのに、飽きられてしまうんじゃないか、浮気してるんじゃないか、という漠然とした不安感から常に抜け出せなくて、彼が寝ている間に、こっそり携帯の中身をチェックするようになってしまいました。何かキッカケがあったわけじゃないし、実際、浮気もしていなかった。でも、携帯チェックしていたことがバレて、結局別れました」(26歳・OL)

相手が浮気をしているに違いないなどといった嫉妬妄想が止まらなくなるオセロ症候群。深刻になると、自傷行為や暴力行為などにも発展するから、甘く考えてはいけない

 この女性のように、こと恋愛関係になると自分を見失ったかのように、脆くて不安定な感情をむき出しにする人は少なくない。しかし、それも全ては深い愛情がさせているもの…ではなく、「オセロ症候群」という症状の1つかもしれない。

 この「オセロ症候群」、妄想性障害やパーソナリティ障害に起因している可能性もあるというのだから、甘く考えてはいけない。

「オセロ症候群とは、パートナーから裏切られるのではないか、相手を失うのではないかといった恐怖心から根拠のないネガティブな妄想を膨らませ、嫉妬心が抑えられなくなる症状のことです」

 そう話すのは、数々の著作を持つ精神科医、ゆうきゆう氏だ。恋愛中、愛されているかどうか不安になるということ自体は、それほど珍しいことではない。多くの場合、不安ながらも相手を信じようとするか、もし信じられなくても大きな問題となるような行動を起こすことはないが、オセロ症候群は嫉妬に駆られ、自分を制御できなくなってしまうところに特徴がある。

「オセロ症候群の場合、嫉妬心から浮気の証拠を必死で探したり、根拠なく相手の浮気や心変わりを責めたり、相手の行動や交友関係を監視、コントロールしようとします。また深刻な状態になると、自傷行為を行うことで相手を精神的に追い詰める。あるいは相手に暴力を振るって支配しようとする、といった極端な行動に出る。つまり、嫉妬心から来る衝動を抑えられなくなるのです」(ゆうき氏、以下同)

嫉妬妄想は愛情深さの表出ではない
心の奥に眠る「自信のなさ」が原因

 オセロ症候群の人は、「相手が他の異性と浮気しているのではないか」と疑う不貞妄想を発展させ、「別の第三者が恋愛上のライバル(2人の関係を邪魔する存在)である」と仮想的な三角関係を作り上げることすらあるという。

「実例で言うと、たとえばSNSで見かけた恋人の同僚を勝手に恋のライバルと思い込み、恋人に『この人と浮気してるんだろう!』と問い詰めたり、そのライバルと思い込んだ相手に連絡を取って暴言を吐いたりします」

 オセロ症候群の人は、ちょっとした不安材料から妄想が暴走して、疑心暗鬼の塊となってしまうわけだ。そしてその妄想はとどまることなく、いつのまにか確証もないのに「浮気(不倫)している」と思い込む。しかし元々は、ただの誤解であり、全てはオセロ症候群の人の頭の中で繰り広げられている妄想にすぎない。

  強い嫉妬や妄想を持つ原因は愛情の深さゆえではなく、「自分に自信が持てない」という部分に起因している、とゆうき氏は語る。

「自信が持てない人、特に『自分には愛される価値がないのではないか』という不安を抱えている人は、嫉妬妄想を抱きやすくなります。自分自身への疑いがあることで、相手からかけられる愛情を素直に信じられず、愛情を獲得し続けるということに強い不安、恐怖心を覚えるわけです。突き詰めれば、『自分は相手から愛を受けるに相応しい』という自分自身への信頼が、欠如していると言えるのではないでしょうか」

 また、少し冷たくされただけで「もう無理!どうせ私のことなんか好きじゃないんだ!」と怒ったかと思えば、次の日は「好き好き!」と言ってくるような感情の起伏が激しいタイプも、情緒が安定しておらず、「オセロ症候群」予備軍なので注意が必要だという。

精神科医が勧める心の整理法で
嫉妬感情と上手に付き合おう

 しかし、問題行動がひどく、「オセロ症候群」と診断されてしまうレベルにまで達していないにしても、恋人(配偶者)に対して少しの疑念も抱いたことがない、という人はあまりいないのではないだろうか?「嫉妬」という感情は意識的に制御、我慢できるようなものでもないため、より厄介だ。 恋人や配偶者に異常に嫉妬してしまうという人は、どう改善していけばいいのだろうか? 

「『恋人が浮気をしているのではないか』と感じる時、それを少し引いた視点で見て、『私は彼を繋ぎ止める自信がないんだな』、『一時的な恋愛だと思っているんだな』、『男は浮気するものだから彼もしている(と思い込んでいる)』といった自分の価値観や、相手との付き合いをどう捉えているのか、という部分を見つめ直し、整理していきましょう」

「“なぜそう思うのか”を掘り下げていくと、『昔の彼に言われたから』『周りのカップルも浮気されたから』など、思い込みの原因がわかるはずです。思い込みに気づいたら、『だからネガティブに考えすぎているだけなんだ』と締めくくってください。ムリに解消しようとせず、客観的に見つめる視点を持っているだけで大丈夫です」

 ゆうき氏によると、自分の嫉妬や妄想を思い込みにすぎないと判断するか、真実だと決めつけるか…そこがオセロ症候群の大きな分かれ道となるそうだ。自分の感情と距離をとってみれば、嫉妬という悪感情にも巻き込まれにくくなるわけだ。間違っても一時の不安や嫉妬に突き動かされ、相手を追い詰めるようなLINEなどは、送らないようにしよう。

 また、恋愛以外で趣味や楽しみがない人は相手について考える時間が長すぎるため、妄想に陥りやすい傾向がある。恋愛以外の自分の時間を増やし、物理的に「相手のことを考える時間を減らす」のも嫉妬を減らす方法としてはオススメだ。

嫉妬することが止められなければ
徹底したSNS断ちが有効

 しかしいくら自分に自信を持っても、自分の趣味の時間を作っても、最近はSNSで相手がどこで何をしているのか、どんな人と繋がり、どんなやり取りをしているのか、簡単にわかってしまうため妄想のタネになる材料は尽きない。パートナーのTwitterやFacebookを逐一監視しては不安や嫉妬を感じてしまう、という人の話を聞く機会は多いものだ。SNS監視や、携帯チェック…恋人の情報を得るのに事欠かない現代人は、嫉妬心をどのように解決していけばいいのだろう。

「相手の情報を得ることを『物理的にできなくする』のがベストです。こういった行動はしない、見ないことで忘れられるもの。具体的には、『SNSアプリをスマホに入れない』『ブックマークしない』『アカウントとパスワードを保存せず、毎回打ち込みにする』『アカウントを削除』『ネットをやめる』『ガラケーにする』『恋人の携帯はロックをかけてもらう』など、物理的な対処法がかなり有効になるのです」

 女優の松居一代がYouTubeに旦那の浮気の証拠を投稿し、全世界に公開していることが衆目を集めた。こうした著名人の不倫や浮気報道が連日メディアを賑わせ、1つの騒動が収束すればまた新たな不貞が暴かれている。こんな時代にあって、相手を信じ抜くのはなかなか難しい。

 また、あなたが信じていても、パートナーの方がオセロ症候群や、それに近い症状になる可能性もあるかもしれない。しかし、その場合、自分さえ相手を愛して安心させてあげれば改善される、と考えてはいけない。

「不安の原因は必ずしもパートナーの行動にあるわけではない。本人が自分を好きになる努力をするほうが大切です。単に相手の望みに応え続けると、だんだんと束縛がきつくなりパートナーも本人も疲弊し、関係性が壊れていくことになりかねません」

 小さな嫉妬が大きな妄想へと広がる前に、まずは「自分は愛される価値がある」と自分自身を信頼することが重要だ。自分をしっかり愛せるようにならなければ、相手のことも素直に愛することはできないのだ。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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