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カンファレンスカメラマンがワイワイ楽しんだ「カンファレンスカメラマンカンファレンス」

カンファレンスの興奮を切り取るカメラマンの知見と矜持を見た

2017年08月24日 11時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●中井勘介

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「僕たちのイベントはプロフィール撮影から始まる」(高山さん)

 「イベントフォトグラファーの日常」を語ったのは、冒頭の山下さんとともにAWSのイベント撮影を切り盛りしてきた高山博史さん。AWSのPrincipal Photographerを名乗る高山さんは元同僚の山下さんとのネタかぶりを気にしつつ、イベントでの撮影ノウハウを披露した。

AWSのPrincipal Photographerを名乗る高山さんはプロフィールやイベント撮影の舞台裏を披露

 高山さんのデジカメ歴はスマートメディアだった富士フイルムの「DS-7」からスタート。デジタル一眼は初代EOS Kiss Digitalからということで、すでに老がい感が漂っているという。日常的にスポーツイベントや子供、ライブなど、普段からさまざまな撮影をしているが、ウェディングフォトグラファーとしても活躍しているという。機材としてはOLYMPUSとPeakdesingが好きだが、イベント機材は望遠と広角の用途になるE-M1 Mark IIとE-M5 Mark IIの2台持ち。「イベントの時にレンズを取り替えている奴はダメだと、山下さんが言ってました(笑)」のコメントで会場が沸く。

 さて、高山さんが撮影を担当したのが、AWS SummitやAWS CTO Nightなどのイベント。とはいえ、カンファレンスカメラマンとしての仕事はプロフィールの撮影から始まるという。「AWS Summitは6月にありますが、プロフィール撮影は3月から撮っている」(高山さん)とのことで、メンバーの撮影を続けてきたが、場当たり的に始めたのでホワイトバランスがバラバラという反省があったという。また、「昼休み、ランチ食べているAmazon.co.jpの女子社員にどいてもらって、椅子に立ってもらって撮影した。クオリティはよかったけど、気持ち的には辛かった」といった苦労もあった。こうした苦労もあり、「世界中のAWSのイベントの中でプロフィール写真が一番いい!」とドヤれるレベルになり、AWS CTO Nightでも高山さんの撮影会が開催されるようになったという。

 イベント本編のノウハウ説明は、冒頭の山下さんとのネタかぶりのため、さらっと説明する。おさえるショットとしてはまず会場の広さ。登壇中は登壇者の動きのあるショットのほか、バックステージからの写真、オーディエンスなどをおさえておく。これらはすべて「でかい会場で登壇した」「聴衆が熱心に聞いている」など登壇者の満足感を高める意図があるという。さまざまなブログや広報メディアで共有されるため、手が抜けないようだ。その他、高山さんは「パネルディスカッションはとにかく逆サイドまで走る」「イベント主催者なら移動で裏口などを活用する」「マイクロフォーサイスなら後ろのロゴもぼけにくい」などの知見を披露した。

 イベント後、写真はすぐアップするため、JPEGで撮るのが基本スタンス。会場のWiFiは混雑するため、あえてサイズを小さめしてもアップを優先する。とにかく大量に撮って、失敗をどんどん間引き、Google Photoで共有。そして、帰ったらカメラへの感謝を忘れず、きちんとメンテナンスするのが高山流だ。納得のいく写真をどのように撮っていくかの試行錯誤と上達への鍛錬に感心させられた。

LTを忘れて会場にアンケートしたら?(石川さん)

 5番手は「にわかカンファレンスカメラマンの流儀」というタイトルで登壇した石川将行さん。とはいえ、当日LTすることをすっかり忘れていたため、自己紹介はEvernoteのメモ書きでしのぎ、後半はアンケートに充てるという斬新なLTタイムになった。

LTを忘れた愉快な石川さんは前半をEvernoteでのプレゼン、後半を参加者へのアンケートにあてた

 普段はグリーのWebエンジニアとして働いている石川さんだが、イベント好きが高じてカメラマンのボランティアをやっているという。今まで担当したIT系のイベントとしては、YAPCやPHP Conference、HTML5 Conferenceなど。イベント撮影は一眼二台体制で挑み、ソニーやキヤノンなどのカメラを併用しているという。

 後半のアンケートではRAWの利用、Lightroom等のツール、カメラのブランド、目線のもらいかたやTHETAでの画像の共有方法、オートプレビューの可否、絞り優先やプログラム、マニュアルなど使ってるモードなど幅広く会場に問いかけた。また、「SDカードを空にしておらず、共有したときにプライベートの写真を見られちゃった事件」や「Twitterでのログアウトを忘れて、プライベートにイベント写真が載ってしまった事件」なども披露し、ちょうど10分で終了した。LTの準備を忘れたのは本人にとっても不本意だったかもしれないが、会場とのインタラクティブなやりとりが楽しめた。

「みなさん老眼対策どうしてますかね(笑)」(風穴さん)

 6番手となった風穴江さんは、元アスキーの編集者。現在はフリーランスとしてサイボウズのWebメディアの編集やこどもプログラミングやLinuxエンジニア向けの書籍執筆も手がけている。

元編集者だった風穴さんは使うことから逆算した撮影の知見と迷いを披露

 風穴さんの撮影する写真は、われわれと同じ報道写真。写したいモノを明確にする一方、写したくないモノは目立たなく。なぜその写真なのかの意図を明確にするというのをポリシーに撮影しているという。「もともと編集なので、使うことから逆算して撮る」というコメントは、まさにオオタニもうなづきたい部分だった。

 続いて風穴さんは撮影において普段気になるところを披露。編集時代は被写体の首の背景に横線が入る「首切り」や頭の背後の事物が縦方向に伸びる「エントツ」などは先輩から怒られたという。一方、最近気になるのはカンファレンス会場のホワイトバランスで、「自社であればともかく、他社の会場だとどこが白いところかわからなくなる」という。

 また、以前から画面と登壇者を同時に撮りたいという願望があったが、これはカメラの買い換えで解決策を見いだした。風穴さんは、「昔は画面を撮った上で、シャドウを持ち上げるみたいなことをやっていたけど、上げるにも限界があるし、上げすぎると不自然。でも、結局新しいカメラで解決した」と話す。技術の進歩はまったく素晴らしい。

 もう1つ気になる点は風穴さんも言いあぐねていたし、ここでも書くのははばかられる内容。「雑誌時代からずっと気になっていて、これが原因で何度もボツになった」という勉強会での注意点は、直接本人に聞くしかないようだ。

 いろいろ迷いの多い風穴さんは、「みなさん練習ってどこでやってるんでしょうか」「SNSでシェアされるカバー写真のネタどうしてます?」「連写されない方も多いですが、タイミングが難しいので、やっぱり連写したいますよね」など、悩める胸の内を吐露。最後、「みなさん、老眼対策どうしてますかね? 僕、プレビューオンにしているけど、実は見えないんです(笑)」という話で会場も沸かせ、壇を降りた。カメラマンでありながら、編集者ならではという視点に納得感の高いLTだった。

カメラマンも撮りながらカンファレンスで楽しんでいる(本多さん)

 7番手はいよいよ本職である本多俊一さんが登場。フォトグラファー、写真教室講師、映像制作、グラフィックデザイン、Webデザインまで手がけるあまりガチぶりに一瞬会場も引きかけたが、「HTMLとCSSが読み書きできます。WordPressのテンプレートくらいならカスタマイズできます」のコメントで、エンジニアの多い会場から喝采を浴び、一気に同胞感も高まった。ちなみに9月から吉祥寺で写真教室を始めると言うことで、興味ある人はぜひ申し込んでみてほしい。

個人では「石」を撮影しているというプロカメラマンの本多さんは、自身が参加したイベント体験を共有

 本多さんがメインフィールドにしているのは、人物よりも空間やモノ、建築物、店舗など。もちろん、カンファレンスやライブも撮っているという。「カンファレンスの撮影では、空席があっても席が埋まっているように見える角度で撮るように気をつけています」とさりげなくTIPSも披露してくれた。

 そして、「カンファレンス撮影は自分の知らないことを知ることができるのが楽しい」というイントロで、本多さんが共有したのはとあるカンファレンスの撮影体験だ。年始に本多さんが撮影を担当したのは、NSCAジャパンが開催した「第5回 NSCA International Conference」というイベント。NSCAはNational Strength and Conditioning Associationの略で、NSCAジャパンは米国にあるNSCAの日本支部にあたる。イベントでは肉体強化やトレーニング、ストレッチなどが実践され、1月開催でありながら汗まみれだった。スキンヘッドの教官が軍隊のブートキャンプさながらのトレーニングを行なっている内容で、参加者も本多さんの作例を食い入るように見ていた。

 もちろんセッションも充実しており、本多さんが撮影を手がけたNCSAジャパンの理事長が語る「筋肉は偉大な臓器だ」という研究発表は特にインパクトがあったという。「認知症のリスクは歩幅から推測できるとか、トレーニングはアルツハイマーやうつ病に効果がある可能性があるといった内容を撮りながら学べて、いい機会でした」とまとめた本多さん。カメラマンが撮りながらカンファレンスを楽しんでいるとは思わなかったので、テクニックとは異なる角度で興味深い話だった。

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