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「負け組」百貨店の苦境、インバウンド消費回復にも乗れず

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神戸市の西神ニュータウンにあるそごう西神店だけは、H2Oから譲渡を断られた Photo:毎日新聞社

 都心の百貨店の下層階。化粧品売り場に溢れる人、人、人……。中国人観光客を中心としたインバウンド消費は、2013~14年ごろの家電製品や高級宝飾品を中心とした“爆買い”需要が一巡して減速したが、16年末ごろから化粧品を中心に回復。特に資生堂など日本メーカーの高級品が人気だ。

 日本百貨店協会の集計では、東京地区の百貨店での6月の化粧品の売上高は、前年同月比15.5%増の119億9566万円で、不振が続く衣料品に代わって百貨店各社の業績を下支えしている。

 大丸松坂屋百貨店を擁するJ.フロント リテイリングや高島屋、阪急阪神百貨店を傘下に持つエイチ・ツー・オー リテイリング(H2O)など、新たな収益の柱を模索して構造改革を進めてきた大手百貨店は、ようやく一息ついたところだろう。

 一方、再び吹き始めたインバウンド消費の追い風に乗り切れない“負け組”もいる。東京都心の電鉄系の多くや、経営不振で再編した大手以外の百貨店だ。

 例えば、セブン&アイ・ホールディングス傘下のそごう・西武。17年2月期の売上高が8521億円もありながら、営業利益はわずかに36億円しかない。

 粗利率の高い衣料品などのプライベートブランドについて、かつては売上高1000億円を目指したが達成できず、成長戦略は頓挫した。

 一方で、西武高槻店、そごう神戸店のH2Oへの譲渡が8月3日に正式に決まったが、低迷する神戸市のそごう西神店だけは譲渡を断られるなど、構造改革もなかなか進まないのが現状だ。

さらなるリストラも

 電鉄系の不振も深刻だ。東急百貨店は17年1月期、売上高1860億円に対して6億円の最終赤字となった。老朽化した渋谷本店は、各線の渋谷駅からやや遠く立地が不利な上に、業績不振により建て替えもままならず、インバウンド需要の恩恵を受け切れないようだ。

 16年2月期に48億円の最終赤字を計上し、早期退職者の募集など大幅なリストラを断行した東武百貨店は17年2月期、何とか6億円の最終利益を確保した。だが、池袋本店では「入居するユニクロやニトリに直行する客が多く、自力での集客を諦めたのか」(ある百貨店の幹部)との声さえ漏れるありさまだ。

 電鉄系では、高齢層を主なターゲットに据えた京王百貨店が何とか黒字を継続して健闘しているものの、その他の“負け組”はいずれもジリ貧の様相だ。

 衣料品など国内消費が低迷する中で、インバウンド消費も思ったほど取り込むことができない大手以外の百貨店は、今後、店舗の統廃合や人員削減など追加のリストラを迫られる可能性が高い。再び統合・再編の嵐が吹き荒れるかもしれない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 岡田 悟)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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