GeForce GTX 1070と競合する
Radeon RX Vega 56
さて、これに続き8月末に投入が予定されているのがRadeon RX Vega 56である。こちらは名前の通りシェーダーを56CU相当に減らしたもので、動作周波数も定格1156MHz、最大1471MHzとやや控えめ。
当然性能もその分低いが、その代わり消費電力は210Wとだいぶお手軽になる。メーカー希望小売価格は399ドルと発表されており、日本での予価は不明だが、143円/ドルなら5万7000円、148円/ドルなら5万9000円となるあたり、実際は5万8800円あたり(税抜)に落ち着くのではないか? という気がする。
ちなみに性能に関して言えば、Radeon Vega RX 64はGeForce GTX 1080と、Radeon Vega RX 56はGeForce GTX 1070と競合するという位置づけになっている。
実際筆者が確認したところ、GeForce GTX 1080 Founder EditionとRadeon RX Vega 64のリファレンスはほぼ同等と言って良い性能を出しており、Radeon RX Vega 56はGeForce GTX 1080 Frontier Editionにはやや及ばない(が、そう離されてもいない)性能を出していることから、おそらくGeForce GTX 1070 Frontier Editionといい勝負になると思われる。その意味では、AMDの示した性能競合の図式はそう間違ってはいない。
隠し玉の小型版Vegaは
Radeon RX Vega Nanoか?
さて、ここまでは資料としても公開されている話だが、もう1つ隠し玉というかSKUが用意されている。それがNano相当のカードである。これはSIGGRAPH 2017に合わせて開催されたカプサイシンイベントの中で、同社のRaja Koduri氏がTim Sweeney氏にプレゼントするという形でお披露目された。右下の画像がそのアップであるが、そこから以下のことがわかる。
- 全長は正確ではないが、ほぼRadeon R9 Nano(159mm)と同程度に見える
- 後端は開放されており、そこからヒートシンクが見えるあたり、おそらく基板全体をヒートシンクが覆っていると思われる
- 補助電源は8ピン×1
これがどういうスペックで、今後どういう形でAMDが販売するか一切語られていないので想像するしかないのだが、すでにRadeon R9 Nanoという前例があるだけに、おそらくは同程度(175W)の消費電力に抑えられていると思われる。
ベースとなるのはRadeon RX Vega 56と思われるが、210Wから175Wまで消費電力を下げるために、定格動作周波数はそう下げないものの最大動作周波数をかなり絞る(動作周波数そのものを絞るか、動作周波数は変更しない代わりに最大動作周波数を維持する時間を絞るか、あるいは両方だろう)ことになると思われる。
このあたりはプロファイルを変更することで容易に実現するだろう。もともとHBM2をパッケージ化しているから、基板の側に必要なのは出力用のコネクター類と電源供給回路だけで済むため、小型化が容易なのはRadeon R9 Nanoの時と一緒である。
今のところこれに関して情報はまったくないので、ロードマップ図にはとりあえず2017年10月あたりに入れてみたが、深い意味があるわけではない。ただ、Vega 11コアが登場する2018年より前に投入するのではないかという気はする。
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