このページの本文へ

海運3社がコンテナ事業統合でも浮上できない理由

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
海運3社のコンテナ船事業の統合会社が誕生し、2018年4月から始動する。売上高2兆円と日本最大の海運会社になる Photo by Ayako Suga

 海運業界に17年ぶりの地殻変動が起きた。日本郵船、商船三井、川崎汽船の海運大手3社がコンテナ船事業を切り離し、統合することを決定したのだ。

 日本の海運業界における大型再編は1999年以来のこと。2000年代は海運バブルを謳歌したが、2010年代に入ってからの海運不況に再編を余儀なくされた形だ。

 コンテナ船をめぐっては、この1年で、世界的な淘汰・再編が進んだ。業界3位の仏CMA CGMがシンガポールのネプチューン・オリエント・ラインズを買収、中国では政府主導による統合が実現した。一方、今年8月には韓国の韓進海運が倒産した。

 その結果、年初には18社だったプレーヤーが14社に収斂。こうした状況を目の当たりにし、「効率だけではなく規模が必要になった。春から統合を考えるようになった」と3社の首脳の一人は明かす。

 現在、コンテナ船業界は積載量300万TEU(1TEUは20フィートコンテナ1個)を誇るデンマークのマースクをトップに、200万~300万TEUのプレーヤーが続き、4位以下は150万TEUという様相だ。

 対して日本の3社はそれぞれ36万~52万TEUしかなく、「世界に伍していくには“150万クラブ”に入る必要があった」(川崎汽船幹部)。今回の統合で、約140万TEU、発注残を合わせれば170万TEUになる。

アライアンス協議で加速

 ある海運関係者は、「将来的にはと思っていたが、予想以上に早かった」と驚きを隠さない。

 3社の話し合いがスムーズに進んだのは、来年4月から始まる新しいアライアンスグループにそろって所属するためだ。顔を合わせる機会が増え、「アライアンスよりも、いっそのこと合併へ」とトントン拍子に話が進んだ。

 「同じ会社になれば、営業も一本化する。アライアンスとはシナジーが違う」(日本郵船幹部)。例えば、世界の港で別々に持つターミナルを一つに集約するなどして1100億円程度のシナジーが生まれるという。

 そもそもコンテナ船事業は、各社共に赤字を垂れ流し、足を引っ張っていた。これを切り離して統合することによって、「筋肉質な新しいコンテナ船会社が誕生する」(池田潤一郎・商船三井社長)とV字回復をもくろむ。

 ただ、不採算事業を切り離せば、浮上できるかといえばそうでもない。なぜなら、コンテナ船事業は川崎汽船で売上高の半分程度、商船三井で4割、日本郵船で3割を占めるコア事業だったからだ。これをスピンオフすれば、当然、本体の売上高規模は縮小し、世界での存在感は薄れてしまう。残された事業で収益を出さなければ、次こそは会社本体が世界再編にのみ込まれかねない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

カテゴリートップへ

最新記事
最新記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ