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アマゾン巨額買収で巨人ウォルマートとの最終決戦が始まった

2017年06月28日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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オーガニック食材にこだわるホールフーズは「コカ・コーラを売らないスーパー」との異名を持つ Photo:AFP=時事

「共通の友人が初デートのセッティングをしてくれた。そして6週間前にシアトルに行き、恋に落ちた。本当に“一目ぼれ”だったんだ」

 米インターネット通販大手、アマゾン・ドット・コムは6月16日、米高級スーパー、ホールフーズ・マーケットを137億ドル(約1.5兆円)で買収すると発表。全米の小売業界を揺るがす買収劇について、ホールフーズのジョン・マッキーCEO(最高経営責任者)は同日開催した従業員向け集会で冒頭のように説明した。

 1978年に米テキサス州で創業したホールフーズは、無農薬野菜などのオーガニック食材を中心とした品ぞろえに強みを持つ。食の安心・安全を追求する姿勢から、健康志向の中・高所得者の人気を集め、米国やカナダなどで約460店を運営している。

 ただ、価格設定が高いことに加え、競合の米ウォルマートや米クローガーなどがオーガニック食材を強化したことで、近年は成長が鈍化。直近では既存店売上高が7四半期連続で前年同期を下回り、一部の「物言う株主」が身売りなどの圧力をかけていた。

 こうした背景もあって、マッキーCEOは「四半期ごとの圧力から解放され、長期的な視点で顧客価値を高めることに注力できる」と喜びをあらわにしている。

主戦場は店頭受け取り

 アマゾンは今回の買収で、苦手としていた生鮮食品を扱うノウハウと、顧客に近い「リアルな店舗」を手に入れることになる。

 これは米国で約5300店を展開する小売業の巨人、ウォルマートへの本格的な宣戦布告になりそうだ。

 主戦場の一つは、オンラインで商品を注文し、店頭で受け取る「クリック&コレクト」と呼ばれるサービスになるだろう。顧客にとっては、買い物時間の短縮や、自宅で配達を待たなくてもよいという利便性があり、企業側にも配送料の負担がないメリットがあることから、米国で各社がしのぎを削っている分野である。

 アマゾンは5月、シアトルで「アマゾンフレッシュ・ピックアップ」というドライブスルー型の店舗をオープン。ネット上で注文し、時間を指定した上で店舗に行けば、店員が商品をトランクに積み込んでくれるサービスだ。

 ただ、ウォルマートも類似の取り組みを2014年から始めており、現在は約600店で利用可能。顧客との物理的な距離の“近さ”でウォルマートに引き離されているアマゾンは、今回のホールフーズの買収でその差を一気に縮めることができる。

 巨額買収で生鮮食品と実店舗でのビジネスへの足掛かりをつかんだアマゾン。ホールフーズでの取り組みが功を奏せば、米国と同じ光景がすぐさま日本でも繰り広げられることになるだろう。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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