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スバルが安全性能で上位3社に勝利できた意外な理由

2017年06月06日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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スバル「XV」の前で衝突安全性能評価大賞を受賞する井上氏(右端)らPhoto by Takeshi Shigeishi

「SUBARU(スバル)の安全性能が、自社評価だけでなく公の第三者評価で最高ランクを頂いた。われわれの開発が間違っていなかったということを皆で分かち合いたい」

 5月29日、国土交通省などが都内で開いた自動車の安全性能を評価する結果発表会。スバルの主力車「インプレッサ」と多目的スポーツ車「XV」の開発責任者である同社商品企画本部の井上正彦氏は、表彰台でそう胸を張った。

 2車種は2016年度の衝突安全性能評価で208点満点中199.7点という歴代最高点を獲得。プラットホームを一新して従来比で強度を4割高めたことや、国内メーカーとして初めて歩行者保護エアバッグを標準搭載したことなどが評価された。13年度にトヨタ自動車の「クラウン」がたたき出した最高点を3年ぶりに更新し、衝突安全性能で名実共に業界トップに躍り出たことになる。

 さらにスバルは予防安全性能を拡充させる。“ぶつからないクルマ”で有名になった運転支援システム「アイサイト」の“進化型”を近く発表するのだ。高速道路での渋滞時も前方車両を自動追従する機能が追加される予定だ。

飛行機会社としての自負

 スバルの16年度の販売台数は約100万台にすぎない。1000万台クラブのトヨタをはじめ、500万台クラブの日産自動車やホンダの足元にも及ばない規模だ。にもかかわらず、なぜ上位3社を凌駕する安全性能技術を開発できるのか。

 吉永泰之社長は「スバルの特徴は何か。就任以来、徹底的に議論してたどり着いた答えが、われわれの本質は飛行機会社だということ。安全に対する技術陣のこだわりは伝統的に強い」と話す。

 スバルは1917年、飛行機研究所として創業した。事故が許されない飛行機メーカーとしての安全への自負が、100年たった今も技術開発の根底を成す。

 そして実は規模が小さいことこそが、スバルの強みでもある。「いたずらに販売台数を追わない」(吉永社長)ことを徹底し、限られた経営資源を安全性能技術に集中投下する。新興国などで販売増を目指す上位3社とは一線を画し、米国や日本という成熟市場でブランド力を高めて勝機を見いだす。

 とはいえ、スバルの前途は多難だ。好調だった米国市場はセダン系を中心に失速し、在庫が積み上がっている。電動化への対応も待ったなしであり、今年度投資する過去最高の試験研究費1340億円が営業利益を押し下げる。吉永社長は「利益率が高い本当のブランドはまだ築けていない。足元の業績が好調な今こそやるべきことをやる」と覚悟を示す。

 自動車の大激変期に、スバルは「六連星」として輝き続けることができるのか。“小さな巨人”は、大きな正念場を迎える。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 重石岳史)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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