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「ダイエー復活」宣言も筋書き見えないイオンの前途多難

2017年06月01日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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株主総会では、過去のダイエーの栄光を賞賛してみせた岡田社長(右)だが、規模の拡大だけでは勝ち目はない Photo :JIJI

 ダイエー復活か──。かつて総合スーパー(GMS)の雄として小売業界を牽引した同社は、1990年代後半から経営危機に陥り、2004年に産業再生機構の支援の下で再建をスタート。丸紅、イオンとの資本提携を経て、15年にイオンが完全子会社化し、現在は同社傘下の食品スーパーとしての道を歩んでいる。しかし業績は低迷し続けており、17年2月期も71億円の営業赤字だった。

 だがイオンの岡田元也社長は、5月24日の株主総会で公表した「イオングループ経営方針」で、連結営業収益(売上高)を8兆2101億円から約16%増の9兆5000億円、営業利益を1847億円から57%増の2900億円とする中期経営計画の数値目標を公表するとともに、不振に喘いできたダイエーのV字回復を宣言したのだ。

 岡田社長は長年続いたダイエーの不振の原因を、当初の産業再生機構のスキームにあるとみているようで、この日も機構について「銀行がダイエーに貸したお金を返すため、優良な子会社や店舗など売れるモノを売ってしまった」と不満をぶちまけた。

 岡田社長のV字回復のシナリオはこうだ。近畿地方で、ダイエーを軸に他のイオン傘下の食品スーパーを統合し、現状3000億円程度のダイエーの単体売上高を、20年2月期に7000億円と倍以上に増やす。

 営業利益目標は示されていないが、今期(18年2月期)中には黒字化できる見通しという。

 ただ、そのシナリオは見えにくい。光洋やマルナカ、マックスバリュなど他の食品スーパーとの統合の在り方や、ダイエーという名称の存廃も未定だ。野村證券グローバル・リサーチ本部の正田雅史マネージング・ディレクターは「単純に規模を追っても収益は改善しない。サプライチェーンの地域密着化が重要だ」と指摘する。

 客層も、高付加価値型の光洋と他社では異なるといわれる。店舗や商品の単純な統合では収益の改善は見込めないだろう。

GMSの減収も深刻

 むしろダイエーより深刻なのは、全国でGMSのイオンを展開する中核子会社・イオンリテールの営業利益が、12年2月期から17年2月期にかけて、466億円から84億円に激減していることだろう。

 岡田社長はテコ入れ策の一環として、衣料品や、家具など「住居関連」商品でユニクロとニトリを追撃する決意を示した。だが、こうした分野はまさに、同業他社のイトーヨーカ堂やユニーが撤退しつつある分野。衣料品や家具に特化して、商品企画から生産、販売まで一気通貫で手掛けるユニクロやニトリと戦うのは、生半可なことではない。

 ダイエー復活の前に、新たな難題が立ちはだかっている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 岡田 悟)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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