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「使いやすさ」「同期スピード」などの競合優位性を武器に、法人市場へのアピール強化

Dropbox Japan新社長、法人向けビジネス拡大の戦略を語る

2017年05月26日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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ビジネス市場におけるフォーカス、「エンドユーザー視点で考える」

 こうした「強み」を持っているにもかかわらず、Dropboxはこれまで、法人向け市場におけるアピールが弱かった。そういう筆者の印象を率直にぶつけてみたところ、五十嵐氏も「たしかにこれまでのアピールは“奥ゆかしい”ものだったのは事実」だと認めた。そこで、今後は市場における「ビジビリティ(存在感)」を高めていきたいという。

 日本市場における今後のフォーカスエリアとして、五十嵐氏は「SMB(中堅中小企業)」、「マーケティング/デザイン/セールス(MDS)部門」、そして「ストレージを超えるサービス(=Paper)」の3つを挙げた。

今後の成長に向けたフォーカスエリア

 SMB顧客に関しては、まず個々のエンドユーザー(従業員)に使いやすさを実感してもらうことで、社内でのツール検討時にもDropboxを選択してもらうという動きを作っていく。実際、現在の導入顧客のほとんどが、個人ユーザーから広がったものだと五十嵐氏は説明する。

 ビジネスユーザーへの訴求を強めるため、今後、ビジネスユーザー向けの「使い方」紹介コンテンツを拡充したり、企業への訪問機会を増やしたりしていくと述べた。「われわれの視点はいつもエンドユーザーにある。企業における使い方、導入事例を、きちんとエンドユーザーにシェアしていきたい」(五十嵐氏)。

 次のターゲットであるMDSは、「大容量のファイル」を用いた「チーム内でのやり取り」が多く、「リモートで(社外で)仕事」する機会も発生することから、高速な同期というDropboxの強みが顧客にアピールするという。五十嵐氏は、特に注力する業種としてメディア、建設を挙げ、ABC朝日放送、加賀田組 東京支店といった顧客事例も紹介した。

 「建設業では、社内設計部門が作成/修正したCADデータを、建設現場にいるスタッフがすぐに参照したいというニーズがある。ネットワーク状態が不安定な現場でも、Dropboxならばきちんとシンク(同期)する」(五十嵐氏)

 最後のPaperについては、「顧客企業の『働き方改革』を支援するため、“ストレージ以上”のものを提供する」一環としてのツールだという。

 説明会では、あるプロジェクトを社外協力者と進行するストーリーでデモを披露し、Paperを開いて打ち合わせを開始し、タスクリストを共有して互いに進捗を確認したり、貼り付けられた資料写真を全員がリアルタイムに確認し、そこにコメントを書き込む、といった作業が容易にできることを紹介した。

 「たとえば、この打ち合わせを対面でやるとすれば、事前のスケジュール調整やドキュメント作成といった“仕事のための仕事(Work for Work)”が幾つも発生し、それだけで何日も進捗が滞る。Paperを利用することで、この時間を大幅に減らせると考える」(五十嵐氏)

デモの模様。あるイベントを開催するマーケターと社外エージェンシースタッフとのやり取りを、Paper上で効率的に実現

 五十嵐氏は最後に、あらためて日本市場で取り組んで行くこととして、「エンドユーザーにきちんと(ビジネスにおいて有効な)使い方を広めていくこと」と「ほかのアプリ/サービスとの連携を進めるためのAPI公開と普及」を挙げた。

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