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低価格版HCI製品、IoTストリームストレージなど「Dell EMC World 2017」レポート

「VxRail」の月額払いモデル、ヴイエムウェアIoT管理製品など発表

2017年05月16日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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HCIを導入しやすくする“クラウド風”の製品購入モデルも発表

 顧客のHCI導入を後押しするために、Dell Financial Services(DFS)を通じて、新しい形態のより柔軟な製品購入モデル(コンサンプションモデル)も提供することが発表されている。

 今回発表された「Cloud Flex for HCI」を利用すれば、VxRailやXCシリーズをリース契約ではなく、初期費用なしの「月額払い」方式で購入することができる。さらに、購入後12カ月が経過すれば、その製品はいつでも違約金なしで返却できる仕組みだ(少額費用を払って継続利用することも可能)。これにより、パブリッククラウドサービスを利用するのと同じように完全にOPEXモデルでHCIを利用することができる、と説明している。

 Cloud Flex for HCIはまずVxRail、XCシリーズを対象にスタートするが、DFSによると、今後はラック構成のVxRackなど、その他のHCI製品にも拡大する計画。

初期費用なし、月額払いの“パブリッククラウド風”購入モデル「Cloud Flex for HCI」も発表された

 ちなみにHCI以外の製品についても、新たな購入モデルが発表されている。たとえば「Flex on Demand」は、Dell EMCのすべてのストレージ製品において、必要な容量ぶんだけを支払う“Pay-per-Use”の購入モデルを可能にする。また、データセンター製品全体に対し、利用リソース量ベースでの月額払いを可能にする「Data Center Utility」も用意している。

ゴールデン氏は「柔軟な支払いモデルやサービスの面でも、Dell EMCは顧客のデジタルトランスフォーメーションを支援していく」と説明

IoTインフラ全体をセキュアに管理する「VMware Pulse IoT Center」発表

 2日目基調講演には、Dell Technologiesグループ傘下のヴイエムウェアからCEOのパット・ゲルシンガー氏が出席し、新しいIoTインフラ向け管理製品「VMware Pulse IoT Center」を発表した。

ヴイエムウェアCEOのゲルシンガー氏が「VMware Pulse IoT Center」を発表した

 このPulse IoT Centerは、IoTエッジに存在する膨大な数のデバイスとアプリケーションを、単一のコンソールから監視/管理/保護するための製品となる。発表によれば、デバイス管理には「VMware AirWatch」、インフラ管理とトラブルシューティングには「VMware vRealize Operations」のテクノロジーが活用されるという。

 Pulse IoT Centerは、マルチベンダーが混在するIoT環境にも対応し、稼働状況をリアルタイムに可視化するほか、デバイスやエッジアプリケーションの管理とアップグレード、「VMware NSX」連携によるエンドトゥエンドでのセキュリティ(トンネリング、マイクロセグメンテーション)といった機能を提供する。これにより、複雑なIoT環境におけるIT管理者/OT管理者の業務効率化と省力化を図る。

 ゲルシンガー氏によれば「VMware Pulse」は製品ファミリーであり、今回のIoT Centerはその1つとなる。「IoTインフラに信頼性やセキュリティをもたらし、ROIをより早く実現する」(ゲルシンガー氏)。

 VMware Pulse IoT Centerの一般提供開始時期は、2017年中と発表されている。なお同製品はオンプレミス向けソフトウェア、クラウドサービスの両形態で提供される予定。

Dell EMCからはストリームデータストレージ「Project Nautilus」

 加えてDell EMCからは、IoTで生成される大量のストリームデータを蓄積/解析するためのソフトウェアである「Project Nautilus」の取り組みも発表された。バックエンドのストレージとして「Isilon」や「Dell EMC Elastic Cloud Storage(ECS)」を利用し、Nautilusのソフトウェアレイヤーを介して、「Apache Flink」や「Apache Spark」などのアナリティクスエンジンでリアルタイムに解析可能にする。

「Project Nautilus」のアーキテクチャ(Pravegaサイトより)

 基調講演に登壇した非構造化データストレージ担当SVP&GMのマニュビル・ダス氏は、現在、非構造化データにはIsilonがカバーする「ファイル」、ECSがカバーする「オブジェクト」のほかに「ストリームデータ」があり、Project Nautilusがこのストリームデータをカバーすると説明した。なお同日、Project Nautilusのコア部分がオープンソースソフトウェア「Pravega」として公開されている。

 「現在、市場で販売されているストリームデータのストレージには、3つの問題がある。まずはストレージの拡張性。次にサイロ化の問題。そして必ずしも安価ではない。われわれはこれを改善できると考え、IoT向けのストレージプラットフォームとしてProject Nautilusに取り組んで来た」(ダス氏)

「Project Nautilus」について3日目の基調講演で説明する、Dell EMC 非構造化データストレージ担当SVP&GMのマニュビル・ダス(Manuvir Das)氏

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 以上、今回はHCI製品とIoT関連製品の新発表について紹介した。Dell EMCではITインフラ全体をカバーし、顧客インフラのモダナイズやハイブリッドクラウドへの進化をサポートしていく戦略を描いている。次回はマイケル・デル氏やその他の幹部がDell EMC Worldで語った、同社の戦略について見ていこう。

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