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舞浜「ロボットホテル」面白ルポ、常駐スタッフわずか3人!

2017年05月02日 06時00分更新

文● 真島加代(ダイヤモンド・オンライン

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ワイルドな風貌とは裏腹に、頭の上にちょこんと乗った帽子がかわいいフロントロボット。140体のロボットと7人の人間が働くのが、舞浜にある「変なホテル」だ

さまざまなロボットが人間と共存する世界――。そんな未来の訪れを実感させてくれるのが、「株式会社エイチ・アイ・エス(以下、H.I.S.)」の子会社「H.I.S.ホテルホールディングス株式会社(以下、H.H.H.)」が運営を手がける「変なホテル」。変なホテルの登場は、ホテル業界にどのような新風を吹き込むのだか?(文/清談社 真島加代)

チェックイン・アウトも恐竜ロボットが対応!
変なホテルに行ってみた

 2015年にハウステンボスにオープンした「変なホテル」(長崎県佐世保市)はロボットが接客をするホテルとして人気を博し、昨年末「初めてロボットがスタッフとして働いたホテル」として、ギネス世界記録に認定されている。

ディズニーランド周辺エリアに登場した「変なホテル」。見た目は普通のホテルだが…

 このハウステンボスに続いて2017年の3月15日、ディズニーリゾートからほど近い場所に2棟目の「変なホテル舞浜 東京ベイ」(千葉県浦安市)がオープンし、さらなる話題を呼んでいる。百聞は一見にしかずということで、実際に行ってみた。

 ロビーには太古を思わせる装飾と、等身大のティラノサウルスの模型や、魚ロボットが泳ぐ巨大水槽が置かれ、ロボットの近未来性と原始的な雰囲気が同居した不思議な空間を構成している。

「『変なホテル舞浜 東京ベイ』は、ディズニーリゾートに近いというロケーションに合わせて、エンターテインメント性を重視しました。フロントロボットは人型のものではなく恐竜ロボットを設置するなど、空間づくりにこだわりましたね」 

 そう語るのはH.I.S.本社経営企画室の担当者。ディズニーリゾートから訪れた宿泊客も余韻にひたれるように、遊び心のある内装となっているという。

 そして、何より目を引くのがフロント業務を担当する恐竜ロボットだ。カウンターに立つと「いらっしゃいませ」と歓迎してくれる。日本語、英語、中国語、韓国語の4ヵ国語に対応しており、日本人客は音声ガイダンスに従う簡単な手続きで、外国人客もセンサーにパスポートをかざせばチェックインが完了する。スムーズにいけば、一度も人間のスタッフを呼ぶことなく部屋までたどり着くことができる。

客室は結構普通。清潔感があり明るい部屋だ

 清掃が行き届いた廊下を抜け、客室に到着。ディズニーリゾート側で4階以上の客室ならば、夜にはパーク内の美しいネオンや、フィナーレの花火も楽しめるという。

 客室は右の写真のようにいたって普通…と思いきや、デスクの上に鎮座する“卵”を発見。AI(人工知能)が搭載されたコンシェルジュロボットの「Tapia」だ。

AIを搭載したコンシェルジュロボット・Tapia。話しかければ、いろいろなリクエストに応えてくれる

 AIを搭載したコンシェルジュロボットの客室設置は、系列ホテル内でも初めての試み。Tapiaに「テレビつけて」、「電気消して」と話しかけるだけでテレビ、エアコン、照明のON/OFFはもちろん、じゃんけんや占いなどのミニゲームも楽しめる。

 何気なく話しかけるだけでも、可愛らしい声で「どーも、どーも」と返事をしてくれたり、突如「今日より明日、明日より今日。日進月歩です」という格言を教えてくれたりと、なかなかに愛嬌のあるコンシェルジュロボットだ。

 同ホテルのレストランや室内清掃には、ロボットは使われていないが、それ以外の基本的なホテル業務の大半をロボットが担っており、その総数は140体。果たして、ロボットの活用によるメリットはどのような点にあるのだろうか?

ロボットでコストダウン
舞浜周辺でも驚きの安さ!

「変なホテル舞浜 東京ベイ」は、140体のロボットのほかに、人間のスタッフが7人。しかも、人間スタッフはローテーションでの勤務のため、常時稼働しているのは2~3人だという。本来、多くの人員を必要とするホテル業だが、ロボットと働くことで、これほどまで人員を削減できるとは驚きだ。しかし、抑えているのは人件費だけではないという。

「変なホテルには『ローコストホテル』というシステムをホテル業界に提案する、という目的があります。ホテルの建設費も一般的なホテルの建設費用より、大幅なコストダウンを実現しました」

 いざ営業をはじめても人件費などのランニングコストは当然低い。そのため、利益から費用を回収するまでに、あまり時間を要さないのが「変なホテル」の特徴なのだ。

ディズニーリゾート周辺は宿泊代金が高いことで知られるが、変なホテルはロボットを活用することにより、価格を大きく下げることができた

「ロボットを活用して人件費をカットしたことにより、リーズナブルな価格で宿泊していただけるのが最大の強みですね。とくに、ディズニーリゾート周辺のホテルは高額な宿泊施設が多いので、宿泊費を抑えたい方や、新しいロボットのサービスを体験されたい方に多くご利用いただいています」

 この「変なホテル舞浜 東京ベイ」は、通常時期で1泊1部屋1万4000円~。ビジネスホテルに泊まるような感覚で宿泊できる。

 立地条件や低価格な宿泊料、そして何より“ロボット活用ホテル”という魅力も相まって、オープンから1ヵ月以上経った今も、週末を中心に混み合っているという。

“変なホテル”とは
変わり続けるホテル

 エンターテインメント性を打ち出している「変なホテル舞浜 東京ベイ」だが、一方で、ハウステンボスにある初号棟「変なホテル」は、ガラリと印象が変わる。

「じつは、ハウステンボスにある『変なホテル』は、宿泊施設という面だけでなく、実証実験をおこなう場でもあります。建材にはCLT工法を使用し、内装が簡素になっている点と、自立型水素エネルギー供給システムを導入しているのも特徴ですね」

 何しろ、前例のないロボットを活用したホテルである。その多くは本来の用途と異なる産業用ロボットなので、ポーターロボットやクローク管理ロボットとして使用したうえで、改善点を探る必要がある。そのため、進化を遂げるホテルでもあるのだ。

「ホテルのロゴのモチーフとなっているのは『オオムラサキ』という変態する蝶。このオオムラサキのように“変わり続ける”ことが、変なホテルの大きなコンセプトであり、名前の由来なんです。お客様からの反応や要望をサービスに反映し、新たに建設するホテルにも取り入れていきます」

 今後の大きな展開として、H.I.S.が所有する複合型リゾート、ラグーナテンボス(愛知県蒲郡市)に3棟目の「変なホテル」を今夏オープン予定。ニーズに合わせて変わっていくホテルは、ロボットのスタッフがスタンダードとなるかもしれない未来でも、“変”であり続けることだろう。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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