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新国立競技場、陸上用トラック常設で問われる都の決断

2017年04月12日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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(写真はイメージです)

 2020年の東京五輪が目前に迫る中、新国立競技場のサブトラック問題はいまだ着地点が見えない。

 新国立競技場は、サッカー、ラグビー、陸上競技の三つの競技ができる。現設計では前二つの国際大会は開催可能だが、陸上はできない。開催基準を満たすために必要な常設サブトラがないからだ。

 その原因は、五輪後に競技場を球技専用にするのか、国際レベルの陸上競技場にするのか、いまだ方向性が定まらないことにある。

 15年末、五輪後の利用方法を決めるため、文部科学省を中心にワーキングチーム(WT)が設置され、昨年2月から9月に8回の議論を重ねた。だが結論は出ず、以後WTは半年以上開かれていない。スポーツ庁は「各競技団体や民間企業にヒアリングし、進捗すればWTは再開する」と言うが、膠着状態に陥っているだけだ。

 そこに一石を投じる提案がある。全国の公園・緑地整備に関わるランドスケープコンサルタンツ協会(CLA)が15年10月に発表した、都営霞ヶ丘団地跡地に常設サブトラを造るという計画だ。

常設サブトラックを造るには、もはや霞ヶ丘団地跡地しかスペースがない(写真はCLA作成資料) Photo by Kosuke Oneda
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100億円を無駄にしない

 この案は画像の通り、団地跡地に常設サブトラを造り、現在、神宮第二球場がある場所に多目的広場を造るというものだ。

 今年3月初旬、WTとは別に、五輪組織委員会が仮設サブトラの設置に100億円掛かると独自試算した。CLA案なら約130億円で普通車500台が入る地下駐車場付き常設サブトラができる。

 だが、実現には大きな課題がある。それは日本体育協会が入る岸記念体育会館の新会館がこの辺りに移転することだ。

 サブトラ1面だけでここまで混迷を極めるのは、「指導力のあるプロデューサーが不在で、みんなバラバラで事が進んだ」(CLAの細谷恒夫氏)ことに起因する。

 新国立競技場建設前の東京都の無理筋な都市計画変更も尾を引く。初めから常設サブトラの場所を考えていなかったからだ。「都の担当職員が『13年の都市計画変更書にじくじたる思いで押印し、今でも後悔している』と言っていた」と言う関係者もいるほど。日本ラグビーフットボール協会、日本サッカー協会、日本陸連、再開発を狙う東京都や民間企業などの利害と思惑が複雑に絡み、何らか“忖度”された可能性もある。

 もはや選択肢は二つ。すぐに壊す仮設サブトラに100億円を投じて税金をドブに捨てるか、常設サブトラを造り陸上の聖地としてのレガシーを残すかだ。

 細谷氏によれば、「都が都市計画変更し、岸記念体育会館を東京体育館陸上競技場の場所に建てれば常設サブトラができる」という。

 7月の東京都議選を控え、「アスリートファースト」を打ち出す小池百合子・東京都知事が、どんな鶴の一声を発するのか注目だ。

(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 大根田康介)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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