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セブンが聖域「上納金」1%下げ、鈴木前会長の呪縛は解けたか

2017年04月07日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長は6日の会見で「思い切った手が打てた」と語った

 ついにセブン-イレブンが“聖域”に手をつけた。

 セブン-イレブンは6日、加盟店から徴収するロイヤルティ「セブン-イレブン・チャージ」を9月から1%減額すると発表した。

 期間は「当面の間」(同社)といい、チャージ引き下げの影響は2017年度下半期に約80億円、年間で約160億円になる見通し。セブンが一律にチャージを減額することは1973年の創業以来、初めてだ。

 コンビニエンスストアは加盟店の売り上げの一部を本部がロイヤルティとして徴取するビジネスモデルである。そして、セブンのチャージ率は他チェーンと比べて割高なのだ。

 例えば本部が土地・建物を用意するタイプの契約では、セブンの場合、月間総利益のうち56%〜76%が本部の取り分となる。

 一方、ファミリーマートのチャージ率は59%〜69%、ローソンは45%〜70%と、セブンよりも加盟店オーナーに“優しい”条件となっている。

 このロイヤルティの高さこそがセブンの高収益体質を支える源泉である。鈴木敏文前会長が「チャージは絶対に触るな」と社内で言明していたこともあって、業界ではセブンが譲ることのない“聖域”だと考えられてきた。

 今回、セブンがチャージ率の引下げに踏み切った背景について、井阪隆一・セブン&アイ・ホールディングス社長は、「社会環境が変化し、店舗の経営に与えるインパクトが大きくなっている。(チャージの減額は)どの店も恩恵が享受できる対応だ」と説明する。

他社に“パワーゲーム”を仕掛ける?

 人件費の上昇や人手不足など、加盟店オーナーの負担は増す一方だ。こうした中で、コンビニ大手3社はいずれも年間1000店を超すペースで出店を続けており、オーナー確保は喫緊の課題になっていた。

「加盟店の負担を軽減することで、『働くならば、セブンがいい』と選んでもらえるように改革したい」(井阪社長)。

 今回のチャージの減額は、収益性が高く体力に余裕のあるセブンが、他社に対して“パワーゲーム”を仕掛けているようにもとれる。

 チャージの減額を“禁じ手”にしていた鈴木前会長が退任を表明したのは、1年前の決算会見のことだった。6日の16年度決算会見で、そのことを問われた井阪社長は、「偉大なカリスマ経営者からバトンを受け継ぎ、自分にできることを自問した。(その答えは)本当の課題に踏み込み、対策を果断に実行することだ」と答えた。

 聖域に切り込むことで“脱・鈴木色”を鮮明にする井阪社長。だが、その踏み込みは、セブンの高収益体質の道を踏み外しかねない危うさを秘めている。

(週刊ダイヤモンド編集部 大矢博之)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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