このページの本文へ

日本の電気自動車ベンチャーGLMが世界で注目を集める理由

2017年04月04日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
パリモーターショーで初披露されたスーパーカー「GLM G4」。各社の中でもひときわ異彩を放っていた

 欧州自動車メーカーの電気自動車(EV)が花を添えた昨年のパリモーターショー。その裏で、業界関係者らの視線は、ある日本のEVベンチャーに注がれていた。

 名前はGLM。京都大学の研究プロジェクトを母体として2010年に設立されたベンチャーだ。かつて幻のスポーツカーと呼ばれた「トミーカイラZZ」をEVとして復活させ、国内のベンチャーとして唯一EVスポーツカーの量産に成功している。出資者にはソニー元会長の出井伸之氏やグリコ栄養食品元会長の江崎正道氏らが名を連ねるなど、早くからその存在が注目されてきた。

 GLMに関心が集まる理由、それは、シャシーやパワートレインなど車の要となるプラットホームを一体化して外部のメーカーに販売するという特徴的なビジネスモデルにある。このプラットホームを用いれば、開発力のない企業でも容易にEV事業に参入することが可能となる一方で、GLMも基幹部品にのみ開発資源を集中することができる。「プラットホームを提供し、製品そのものは各社に造ってもらう点では、スマートフォンのイメージに近い」(田中智久・GLM取締役)。

 いってみれば、水平分業の究極型。これまでトヨタ自動車など既存の自動車メーカーは、傘下のサプライヤーを垂直統合することで競争力を蓄積してきた。だが、GLMはその旧来型の産業構造を揺るがすインパクトを持っている。

 ここ10年、薄型テレビやスマホの水平分業が進み、これらの基幹部品である液晶・半導体を中韓台メーカーに握られることで、日本の電機メーカーは競争力を失った。いよいよ、自動車業界にもEVを手始めに水平分業の波が押し寄せている。

メガも狙う将来の飯の種

 すでに、既存の自動車メーカーも提携戦略を駆使し、水平分業へとかじを切りつつある。自前主義が強いホンダがモーター事業で日立オートモティブシステムズと提携したし、カナダ・マグナにEVの開発を一手に任せる米フォード・モーターのような企業すらある。

 そんな中、業界で頭角を現しているのがメガサプライヤーだ。モータージャーナリストの桃田健史氏は、「GLMと同様で、どのメガサプライヤーもEVのプラットホームビジネスを狙っている」と断言する。EVは、内燃機関車に比べて部品点数が少なく開発も簡単でコモディティー化が進みやすい。となると、量産化技術に長けたメガサプライヤーに優位性があるという指摘だ。

 GLMが火付け役となり、メガサプライヤーが虎視眈々と狙うEVのプラットホームビジネス。大手自動車メーカーにとっては、将来の飯の種がベンチャーやメガサプライヤーに奪われる危機であり、手をこまねいている暇はない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本 輝)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

カテゴリートップへ

最新記事
最新記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ