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東電新体制が発足、「好戦的」営業姿勢に他社戦々恐々

2017年04月03日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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東電ホールディングス社長に就任する小早川智明・東電EP社長(左)と川村隆・日立製作所名誉会長。改革を断行できるか photo:Yasuo Katate、JIJI

 東京電力ホールディングスが新体制に移行する。会長には日立製作所の川村隆名誉会長が就き、社長には小売り部門の東電エナジーパートナー(EP)の小早川智明社長が就任する。新体制の陣容に対し、業界内では期待と不安が交錯している。

「EPはダンピングまがいのなりふり構わぬ販売姿勢で、供給エリア外へ攻勢に出ていた。そういう積極姿勢が国に評価されたんだろう」と電力業界関係者は話す。確かに、小早川社長は法人営業畑が長く、東電生え抜きとしては珍しい営業マインドを持つ人物として知られる。

 法人営業は、電気を大量に消費する工場など大口の電力ユーザーに対して、節電やエネルギー効率の改善を提案し、契約を取っていく部隊。2016年4月に家庭向けの電力市場が自由化されたが、大口の電力市場は2000年から自由化が始まり、新電力を含めて激しい競争が続いている市場だ。

 そんな最前線の部隊でキャリアを積んできたからか、常務執行役として、16年4月の家庭向け電力市場の完全自由化へ向けた準備を任されていた15年度は、他の電力会社に先駆けて、次々と異業種とのアライアンス締結に成功。過去約2年間で、東電の中で最も他社とのアライアンスを進めた人物だといってもいいだろう。

より好戦的に

 東電は、16年末にまとめられた東京電力改革・1F問題委員会(東電委員会)の提言に沿って、新たな総合事業特別計画を策定しているところだ。骨子では、福島の原子力発電所事故関連コストを賄うべく合理化を進めて収益を上げ、かつ送配電事業や原子力事業において他社との再編・統合を目指すことが明記されている。

そんな中、EP社長時代に幾つものアライアンスを実現させた小早川社長が適任だと、東電の株主である国および原子力損害賠償・廃炉等支援機構などに評価された可能性が高い。

 川村氏は08年度に国内製造業では過去最大の最終赤字を出した日立を、子会社の事業売却など大胆な構造改革を進め、復活させた大物だ。川村・小早川両氏は、事業ごとの再編・統合と収益力向上を進めなければならない東電に、ぴたりとはまるコンビだったわけだ。

 一方で、不安を口にする業界関係者もいる。より積極的に域外へ攻め入る可能性があるからだ。実際、小早川社長は東電EPの域外への拡大戦略をめぐって、業界に波風が立つから自粛しろと、東電ホールディングスの守旧派から何度かくぎを刺されたこともあるほど挑戦的だった。

 自らがホールディングスの社長となれば、そんなこともなくなる。思う存分、域外へ攻め入るようになるかもしれないのだ。

 少なくとも、前体制に比べ、より好戦的な東電となりそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 片田江康男)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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