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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第160回

新型真空管「Nutube」搭載ヘッドアンプのサウンドはなにが違う?

2017年04月01日 12時00分更新

文● 四本淑三

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ACでしかないAC

―― ACはどうですか?

 ACはACですね。

江戸 ACはACですよね。

―― ACとしか言いようがないですよね。VOXが作るACの音だから。愚問でした。ただ、ACシリーズのよさというのは伝わりにくくて、ROCKのゲインを落としてミッドハイを上げれば同じみたいに思われてるところもあります。

江戸 クランチを比べるとフェンダー、VOX、マーシャルってぜんぜん違うんですよ。AC30の場合は、スピーカーにセレッションのアルニコブルーを使っているおかげで、ジャリーンというところが出てきているんですが、これはそのジャリーンをアンプで出しているので、単にROCKのゲインを下げればACになるというわけではないです。

 もちろん回路構成も違いますから。

―― 僕はAC4やAC10のような小さいVOXのチューブアンプを使っているので、MV50のACがどんな感じなのか、すごく気になっています。

江戸 だったらこれは気に入られると思いますよ。これはちょっとダイナミクスがフラットな感じで、弾きやすいです。

ほかとは設計が違うCLEAN

―― ACやROCKはバックパネルにインピーダンスの切り替えスイッチがありますけど、CLEANはそこがアッテネーターになっていますよね。

 ACとROCKはスピーカーの影響を受けて音が変わる回路をパワーアンプに載せています。その影響を受ける量は、接続するスピーカーのインピーダンスで変わってくる。それで背面にインピーダンスの切替スイッチがあるんですが、CLEANにはあえてその回路を搭載していません。

―― それはなぜですか?

 どのキャビネットでも安定したクリーントーンが出せるように。スピーカーと箱の影響を受けて出る音の差を、CLEANでは広がらないようにしています。

ACとROCKにはインピーダンススイッチの切り替えスイッチ

CLEANには出力を1/10、1/100に規制するアッテネータースイッチ

―― そうしないとクリーントーンが成立しないとか?

 その方が好まれる場合が多い、ということですね。クリーントーンで弾くジャズギタリストで、真空管アンプという人もそんなにいない。むしろトランジスタアンプのほうも好きという人が多い。

江戸 パワーアンプが頑張ってますとか、スピーカーが頑張ってますという、アンプとスピーカーの相互作用で生まれる音は、ある程度、アンプが歪んでいるからこそ出る音なんですね。CLEANはそういうシミュレーションをあえてしないほうがよいと思ったんです。

―― デモを効く限り、ある程度は歪むようですが。

江戸 はい。ボリュームを上げていくと、ベースマン的な歪まではいきます。その歪んだ状態で音量を下げて弾きたいという人のために、裏にアッテネーターが付いているんです。

―― ボリュームがゲイン的に、アッテネーターがマスターボリューム的な役割になっていると。

 そこもかなり考えて、ここまでまとめた感じですね。

―― また殴り合いですか?

 いえ、手は出ていないですから(笑)。

江戸 この形は李が提案してくれたんですよね。

 アッテネーターは江戸が最初に言ってくれたんだよ。それでボリュームをアッテネーターにすれば、ゲインをなくしてEQはトレブルとベースにできるじゃんって。

―― EQを2バンドにしなければならない理由があったんですか?

 やっぱりCLEANではゲイン、トーン、ボリュームではちょっとなあと。

江戸 クリーントーンを使うジャズの人は、細かくEQをいじれたほうがいいだろうなと言うのもあって。

 あとは実際に音を出しながら説明したほうが早いかな。

(次回は果たしてどれくらいの音量が出るのか。実際にスピーカーにつないだ様子をお伝えします)

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著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)

 1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ

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