アイキューブド研究所は3月29日、新映像信号処理クリエーション技術「I3」(Intelligent Interaction Creation)を開発し、その成果を報道関係者に公開した。
同社は、2011年のICC(Integrated Cognitive Creation)、2013年のISVC(Intelligent Spectacle Vision Creation)、そして2015年のICSC(Interactive-Cast Symbiosis Creation)と、約2年おきに新技術を投入してきた。
それぞれ高画質な映像を出力するという意味では変わらないが、それぞれ映像のディティールやそれぞれの距離や奥行きを感じ取れること、風景に自分が取り込まれたかのように力強さや壮大さを感じ取れること、映像の中にあるオブジェクトに近づいたり離れたりする相対的な距離を感じられるようにすること、など異なるコンセプトを持つ。
今回のI3は、その集大成的な位置づけで、それぞれ別個の効果を持っている技術を統合的に活用、人間が目で見た風景を認知するのにより近い体験が得られる映像を、映像信号の処理で提供する。
同社の技術は、“光クリエーション”と呼ばれる輝度信号の処理が特徴。人間の感覚が鋭いグレースケールを、どう精密かつリアルに再現していくかが主眼のようだ。
そのための処理はブラックボックス化されているが、例えば超解像処理や、曇り空が晴れるかのように均一に映像を明るくするといったのは典型的なもの。また、遠景部分などカメラのレンズではぼけてしまう部分を精密に、かつそれぞれの距離感が明確にわかるようするなど、映像が撮影した現場に実際に立っているかのような臨場感を提供する点にこだわっている。
デモでは、4Kカメラでの実写映像、UHD BDの映画、4K放送の3つをソースに、それぞれ忠実光景モード、体感光景モード、相対光景モードの処理を適用。0~100までのパラメーター(クリエーション度)を調整しながら解説。パネルの輝度が100nit程度と低いモニターでも、250nitの輝度があるテレビに劣らない明るい映像の再現ができる点や、SDRでもHDRの映像を上回る明るさや迫力が得られる点などを紹介した。
今回は技術発表ということで、製品化などの時期に関しては未定。実際にどんな処理が適用されているかの技術的な説明もほぼゼロだったため、映像の変化を見せるという発表にとどまったが、その精細感や明るさなどに驚きの声を上げる記者も散見された。