このページの本文へ

使いこなしテクやぶっちゃけ話で内容もプレミアムフライデー

メーカーもぶっちゃけた第2回NW-JAWSはルーター特集

2017年03月16日 07時00分更新

文● 重森大

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

クラウドに特化した「CSR 1000v」、いかに無料で手軽に試せるか?

 予定ではNECの面々が登壇する順番だったが、プロジェクターにPC画面をうまく映し出せず。急遽、順番を入れ替えてシスコの印南 鉄也さんが立った。勉強会ではこの手のトラブルはありがちだが、そのたびに思うことがある。

クラウドを使いこなす人たちがなぜPCとプロジェクターをつなげないのか

 おそらく、永遠に解けない謎である。

 そんなことより、Cloud Services Router(CSR)1000vの紹介の紹介に立ったシスコの印南さんだ。CSR 1000vはクラウドで使われることを想定して開発された製品で、他のIOSとは少しだけ違うIOS XEというOSで動いているとのこと。こちらもAWSやAzureのマーケットプレイスで購入できるようになっている。コストは基本的にスループットや使う機能によって変動するライセンス体系だ。

「小さく使うと安く買えるというのが売り文句ですが、たくさん使ったらビッチリ払えや、という料金体系になっています」(印南さん)

シスコ 印南 鉄也さん

 ちなみにIOSはあまりスレッドを使わないらしく、ある程度のスループットを出してもコアを占有してしまうことがないとのこと。搭載しているIntelのCPUは多コア化が進んでおり、CPUパワーを余らせてしまうことになる。これを活用するため、余っているコアを使って好きなVMを動かすことができるそうだ。

「一番よく使われるのは、VPNの終端ですね。各拠点とクラウドデータセンターをVPNで結ぶときに使われます。オンプレミス側でASR1000などを使えば、両端を同じ設定で使えるので構築が楽になります」(印南さん)

 オンプレミスとの接続だけではなく、データセンター同士を結ぶデータセンターインターコネクトにも使われる。VXLANやOTVに対応したのが早かったため、こちらもよく使われているとのこと。

 筆者の興味を引いたのは、WAASというオプションを利用することでWAN最適化が可能だという点。オンプレミス側のISRやASRとの混在環境でも使える。アプリケーションベースでのフローコントロールや、振り分け先サーバールームのヘルスチェック結果に基づいた分岐をCSR 1000vだけで実現できる。L7の話ばかりじゃ面白くない、とか言いつつ、やっぱりルーターのL7処理にはなんだかロマンを感じる。え、感じない? おかしいな。

CSR 1000vによるWAN最適化コントロール

「IOSの話なんか知ってるよって人も多いと思うので、今日はいかにCSRをタダ使いするかという話もしたいと思います」(印南さん)

 「おいおい、売れってw」と心でツッコミつつ、続きに耳を傾ける。本来、ライセンスを購入してシスコからVMをダウンロードしてインストールして使うのだが、AWS上で気軽に試せるテストドライブというプログラムが用意されているとのこと。「私は使ったことないんですが、みなさんよく使っていただいているようです」と、印南さん。そのほかにも、シスコのサイトで評価ライセンスを取得して60日間無料で試すこともできる。

「使ってみて、仮に、気に入ったら正規ライセンスを購入していただければ、試用したインスタンスをそのまま使い続けることができます。使い方によっては安く買えるかもしれないライセンス体系をご用意してお待ちしております」(印南さん)

 さらに簡単に試せる方法として、印南さんは自身のMacbook上で仮想マシンとして動かして見せた。

「このように簡単に試せるので、ぜひ週末に評価ライセンスをゲットして触ってみてください」(印南さん)

IXルーターのURLオフロード機能を使えばマルチクラウド接続が簡単に

 さて、急遽トリを飾ることになったNECのセッション。まず登場したのはNECソリューションイノベータの岡崎 靖浩さんだ。SIの観点から、マルチクラウドとの接続をどのように最適化して快適な環境を提供するかについて語った。

「SIerとしてはBGPやOSPFでどのように表現するかと考えるところなんですが、AWSに加えてSalesforce.comやOffice365など複数の接続先に最適なルーティングができるのかという課題があります。それを解決するのが、IXルーターに昨年リリースされたURLオフロードという機能です」(岡崎さん)

NECソリューションイノベータの岡崎 靖浩さん

 多くのクラウドサービスでは、送信先のURL、IPアドレスリストが公開されている。これを参照し、接続先がAWSの場合はダイレクトコネクトに、Office365の場合はインターネットにと振り分けることができる。URLリストの管理を外出しすることで、管理コストを削減できるとのこと。

URLオフロード機能でマルチクラウド環境対応を容易に

「ここで面白いのはですね、Office 365のURLリストを見るとCloudFrontやS3などAWSのサービスを使っていることがわかるんですね。というだけなら、へー!で終わるところなんですが、これはつまり接続先によっては振り分け先が重複するということで、新たな課題でもあり、SIerの方々の腕のふるいどころかなと思います」(岡崎さん)

 ここまで語ったところで、NECの市村 達也さんにバトンタッチ。「岡崎がほとんど喋ってしまったのですが」と言いつつ、IXルーターの特徴について補足していった。

「URLオフロードも含めてL7機能が増えてきているので、IXもルーターというより、ファイアウォールやロードバランサーに近づいているのかなと思っています。そういった意味で高速化にも力を入れています」(市村さん)

IXルーターはクラウドゲートウェイアプリパッケージに対応

 特徴的な使われ方としては、NTT東日本のクラウドゲートウェイアプリパッケージに対応しており、閉域のNGN網だけを通ってAWSと接続できる。スループットが高く、フレッツ回線があれば短期導入が可能。この構築まで含めてNECのサービスとして提供できるよう準備していく予定だそうだ。

カテゴリートップへ