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サムスン、トップ逮捕でアップルとの関係に溝も

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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韓国サムスン電子の現トップ、李在鎔副会長の逮捕で「パンドラの箱」は開くことになるか Photo:Lee Jae-Won/Aflo

 韓国の政財界が大きく揺れている。朴槿恵(パク・クネ)大統領の友人、崔順実(チェ・スンシル)被告に対し賄賂を送ったなどの容疑で、韓国サムスン電子の現トップ、李在鎔(イ・ジェヨン)副会長が逮捕されたからだ。

 李氏は、サムスン創業家の3代目。2012年に副会長に就任しており、父親の李健熙(イ・ゴンヒ)会長が病に倒れたことをきっかけに、事実上のトップとしてグループの経営を指揮してきた。

 昨年11月には、グループの複雑な出資関係を改め、李氏の実質的な権限をより強める狙いで、持ち株会社体制への移行検討を打ち出している。

 これから大胆に経営改革を進めようとしていた矢先に、トップが長期間身柄を拘束されることになり、司令塔不在による意思決定の遅れや、半導体やスマートフォンをはじめとした事業への影響は必至の情勢だ。

 サムスンをめぐっては、一時的にグループ企業59社のトップによる「集団指導体制」を敷くことで、経営空白を回避するという観測が足元で広がっている。

 しかしながら、最も懸念されるのは経営の空白ではなさそうだ。

 それよりも、サムスンの“弱り目”を狙ったかのように、創業家の支配力の低下や競合企業との特許訴訟、取引関係や納入価格の見直し圧力など、これまで大事にならないように何とか抑え込んできたさまざまな問題が、一気に顕在化することだ。

アップルとの関係に溝も

「アップルの担当者が、焦った様子で製品の開発状況や供給について電話で尋ねてきた」。日本で有機ELパネルの部材を製造するメーカーの幹部は、そう声を潜める。

 米アップルはiPhoneの発売から10年目となる今年、新型機種の一部に従来の液晶ではなく、有機ELを搭載し、その供給を当初はサムスンが一手に引き受けるとみられている。

 アップルにとって、特定の1社から独占的に部品の供給を受けることは、事業リスクを考えれば避けたい。ただ、スマートフォン用の小型有機ELパネルを量産できるのは、目下サムスンしかないのが現状だ。

 そのサムスンの経営に大きな混乱が生じたことで、供給体制に不安を感じたアップルが、複数企業からの調達を一日でも早く実現するために、日本のメーカーに開発・量産に向けて尻をたたくように問い合わせをしてきたわけだ。

 サムスンは昨年、iPhone用の電池供給についても、アップルと交渉を進めていたとみられるが、昨夏の「ノート7」の電池発火問題に、今回の経営の混乱も加わったことによって、先行きに暗雲が垂れ込めている。

 精密部品の巨大サプライヤーでもあるサムスン。同社にとってトップの逮捕の影響は、企業間の「BtoB」取引に真っ先に表れてきそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 中村正毅)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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