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子どもの急病にも安心!小児科医が待機する医療相談が人気

2017年02月16日 06時00分更新

文● 吉田由紀子(ダイヤモンド・オンライン

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 子どもが夜間に突然、熱を出す、嘔吐したり腹痛を訴える……。その様子に驚いて、救急外来に駆け込んだ経験を持つお母さん、お父さんはいらっしゃるだろうか。おそらく、大半の方が、イエスと答えるに違いない。

大したことがないのに、不安のあまりに子どもを救急外来に連れて行ってしまう親は少なくない。そんな現状を改善しようと、小児科医によるオンライン医療相談サービスが登場した

 統計によると、救急外来を受診する子どもの9割が、じつは軽症者。投薬などで、その日中に帰宅できるケースが大半である。もちろん、中には急を要する重篤な場合もあるが、9割が「病院へ行くまでもない」状態なのである。

 とはいうものの、親にとって子どもの体調は何より気になるのも事実。身近な医療の専門家に相談したいものだ。

 こうしたニーズに応えて、ネットを利用した様々な医療支援サービスが増えているが、いま注目を集めているのが、小児科オンラインである。これは小児科に特化した遠隔医療相談で、電話やLINE、Skypeを利用して、子どもの体調を相談できるサービスだ。平日18時から22時まで、現役の小児科医が相談に乗ってくれる。料金は月3980円の定額制。1回の相談は10分以内だが、相談は何度でもOK。回数に制限はない。

 2016年5月に始まったこの小児科オンライン。0歳児から15歳までを対象としているが、相談で多いのは、0歳児だという。特に1人目の子どもを育てているお母さんからの相談が多い。「乳児湿疹はどうすればいい」、「ミルクを飲まないが大丈夫だろうか」、「うちの子の発達は遅れているのでは」、こういった様々な相談が寄せられている。

写真や動画を医師に送れば
具体的なアドバイスが可能

 サービスを開発したのは、小児科の医師である橋本直也氏(株式会社Kids Public代表)。立ち上げた背景には、自身の医療現場での体験がある。

運営にあたるのは、現役の小児科医である橋本直也氏。現在、24名の医師が相談に乗っている

「小児科外来にいると、軽症のお子さんを連れてくるお母さんが多いんです。周囲の人から見ると、その程度で病院に行かなくても……という状態でも、お母さんは真剣に心配している。まわりに相談できる相手がいなくて取り残されているのが、いまのお母さんの実情だと痛感したのです」(橋本氏)

 橋本氏は、こういう医療現場の状況を少しでも改善したいと、事業を立ち上げた。ネットが発達し、主婦にもスマホが普及したことで、オンラインでの医療相談に踏み切ったのである。

「なかなか面と向かって医師に聞きにくかったことを話せてラクになった。インフルエンザの流行期には感染が怖いので病院に行くのをためらうが、ネットで相談でき安心した。利用している親御さんからは、こういった感想をもらっています」

 対面相談ではなく、オンラインで大丈夫なのか?という疑問をお持ちの方もおられるだろうが、例えば、疾患部の状態を写真や動画に撮って送信することで、かなり具体的なアドバイスができるという。

 親や子どもの不安を解消するだけでなく、この事業は将来的な目標を掲げている。

「こういった遠隔相談は、医療費の適正化につながると考えています。例えば、病院の外来で夜18時に0歳児が受診した場合、約5000円が医療費として発生します。乳幼児の場合このうち2割が自己負担額ですが、それも行政の補助があり、結果的に窓口負担は0円という自治体が少なくない」

 実質的な出費がないので、親も躊躇せずに病院へ行くようになるという側面もあるわけだ。

「もちろん、気軽に病院に行けるのが、日本の保険診療の良さなのですが、この医療費には当然ながら税金からの支出も含まれます。本当に受診すべきお子さんだけが受診する社会を実現できれば、小児の医療費は適正化されるはずです。ここにも私たちは貢献したいと思っています」

海外在住日本人向けの
サービス展開も強化

 小児科オンラインは、個人ユーザーだけでなく、福利厚生としての導入や、企業の健保組合との連携も行っている。組合員は無料で利用することができるという仕組みだ。また、海外で子育てをする日本人へのサービスも始めている。シンガポールでは現地のクリニックと提携し、受診者にネットサービスが利用できるようにしている。健保、海外施設との連携を、今後、強化していく予定だ。

「現在、困っている親御さんからは費用をもらわないようなビジネスモデルを中心に展開しています」という橋本氏。

「この事業に込めたいちばんの願いは、お母さんたちの不安に寄り添うことなんです。軽症でも病院へ行くのは、親御さんがそれだけ不安な状況に置かれている証拠。親が生き生きしてこそ、子どもは元気でいられるのだと思います」

 急速に増えつづける日本の医療費。加えて、人口が減少する地方では、病院も医師数も減っているのが現状だ。特に子育てに必要な小児科や産婦人科こそ不足が顕著だ。その結果、病院へ行こうとしても遠くて時間がかかり、その分、通院費用も高くなってしまう。ネットを活用した医療サービスは、これからますます需要が拡大することは間違いないだろう。

(吉田由紀子/5時から作家塾(R)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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