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東芝、債務超過1900億円…迷走する巨大企業の行方

2017年02月15日 06時00分更新

文● ダイヤモンド・オンライン編集部(ダイヤモンド・オンライン

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2月14日、2016年4~12月期決算を発表予定だった東芝は当日になって突如、決算発表を延期。しかし、あくまでも「当社の責任において見通しと見解を述べる」として記者会見を行った。一体今、東芝に何が起きているのだろうか?

原発関連損失は7125億円
債務超過に転落した

 記者会見には綱川智社長と財務担当の平田政善専務、佐藤良二監査委員会委員長、畠沢守常務が出席。株式市場からも疑惑の目を持たれた決算発表延期について、「1月8日と19日に、ウェスチングハウス(WH)によるCB&Iストーン&ウェブスター社買収に伴う取得価格配分手続きの過程で、内部統制の不備を示唆する内部通報があったため」と説明。事実関係の確認や会計への影響の有無などの調査を実施しているために発表を延期したが、決算数字には影響がない可能性が高いとして、「当社の責任において見通しと見解を述べることにした」と語った。

お荷物必至と見られる原発は継続、虎の子の半導体は100%の売却も可能性としてはアリ...東芝の将来像は見えないままだ Photo:Reuters/AFLO

 綱川社長が冒頭で2016年度の業績見通しについて説明。米国の原発関連事業での損失が7125億円となり、昨年12月末時点での債務超過は1912億円。同時点の当期純損失は4999億円となった。

 焦点となるのは、今後の再建策。原発事業の立て直しと、収益性の高い半導体メモリー事業の売却に質問が集中した。

綱川社長「半導体はおかげさまでオファーをいくつもいただいている。一番評価されて、当社にとってもいい先を探したい。(1月27日の会見では売却は20%以内と言っていたが)特にマジョリティー(過半数)キープにはこだわりません。

 (最大100%の売却もあり得るのか、という質問に対して)すべての可能性はあり得ます」

WH買収は失敗だったが
原発事業継続は「義務」

綱川社長「(債務超過に転落し、半導体メモリー事業を売却する羽目になった原因は)米国の原発事業が一番大きい。WH買収からと言えなくもありません」

 そう語る一方、原発事業は今後も続ける考えを強調した。

綱川社長「原発事業の80%はサービスや据え付けベース。WHと東芝は据え付けで世界一のシェアを持っていますから、ここと燃料をしっかりやっていくということです。ここはお客様に迷惑をかけないようにやっていきます。

 残り20%については、現在の8基の建設をしっかりやっていき、これ以上コストオーバーランが出ないようにやっていくということです。今後の受注に関しましては、(今回の損失の元凶となった)土木リスクを取らないということが、概要であります」

 綱川社長も認めるように、原発事業の拡大が東芝危機の最大の要因。「原発事業をまだやるのか」「縮小する考えはないのか」という質問がいくつも出たが、綱川社長は「お客様に迷惑をかけないようにやっていかなければならない」と繰り返し発言。今後、パートナーを募って出資比率を下げる可能性もあると言及したが、基本的には原発事業を継続する意思を示した。

 さらに損失が膨らむ可能性についてはどうだろうか。

綱川社長「7125億円の減損というのは、現状のまま、改善効果が今後も上がらないことが前提の数字です。とてもリーズナブルな数字ではないかと思っています。

 日本のゼネコンのアドバイスをもらうとか、管理やモニタリング、見える化を進めるなどの改善施策を行っていますが、こうした施策がないという前提で、減損数字を弾きました」

決算発表延期の
悪影響は?

 一昨年の不正会計事件以来、たびたび決算発表を延期し、市場の不信感をあおってきた東芝。今回の発表延期は、さらなる損失拡大につながるのだろうか?

佐藤監査委員長「(今回の内部通報の内容は)現在調査中であるため、詳しい内容は控えさせていただきたい。これは東芝本体の話ではなく、WH内部の話で、WHのCEO宛の内部通報でした。業績への影響がゼロとは言い切れませんが、現時点では四半期財務諸表に具体的に修正を行うべき重要な事項を認識しておりませんし、独立監査人からもそのような指摘を受けておりません。今日お伝えした7125億円の減損について、重要な修正がこれから起きるとは考えておりません。

 延期がギリギリになったのは、内部通報の調査報告書を今日の決算発表に間に合わせたくて、ギリギリまで手続きをしていたためです」

 今後、注目されるのは債務超過から脱却するための資本増強策だ。

綱川社長「資産売却などあらゆる手段を考えていきます。大きな金額としては半導体メモリーの売却。現状では、金額や相手先などは申し上げられませんが…。出資比率などは柔軟に考えています。会社にとって、一番いい方向にしたい。

 (他の資産売却については)今言えるものはありません。売却を検討しているものはないということです」

 会見に集まった記者だけでなく、業界関係者たちも指摘する原発事業の先行きの暗さにもかかわらず、改革を行いながら事業を継続するスタンスを明言した綱川社長。果たして半導体メモリーの売却だけで一連の危機を乗り越え再び収益を上げる会社になれるのか。東芝の行方は混沌としている。

(ダイヤモンド・オンライン編集部 津本朋子)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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