周囲の環境音はほとんど遮断されない
残念ながらここ2~3日の間に飛行機に乗るチャンスはなかったが、サウンドイヤーカフを装着して東京メトロに乗った限り、周囲の環境音も十分聞こえるので、安全面では問題なさそうだが、一方音楽を楽しめるかどうかは大いに疑問だった。いやきっと没入して楽しむイヤフォンではないのだろう。
ひょっとすると、サウンドイヤーカフは、「耳を塞がず音を楽しむ」とあるように“音楽”を楽しむのではなく、“音”を楽しむものなのだろう。昭和世代の“ながら”スタイルはイヤフォンで好きな音楽を聴きならが本を読むとか、ラジオ番組を聴きながら勉強する……とかの別々の感覚器官の並行処理であった記憶がある。
しかし、サウンドイヤーカフの発想のイメージにある“平成のながら”スタイルは、音の世界において、一般的に言う“音楽”以外の周囲の人の声や音、そして人が今いる環境によって作り出される音を、音楽と同等レベルにミックスアップして、装着者に聴かせるタイプのイヤフォンなのだろう。同じ語彙でも「ながら」の意味が大きく違う。
筆者のようにすでに多くのイヤフォンを持ってる人なら、サウンドイヤーカフを変わり種の1つや話題の製品の1つとして所有するのもいいだろう。
しかし、今使っている唯一のイヤフォンからサウンドイヤーカフに移行するつもりなら、必ずどこかで一度は試聴した方がいいかもしれない。
また、耳殻に取り付けるのは簡単と言っても、ある程度の練習は必要かもしれない。何度もトライして耳殻が赤くなってしまうなんてことも皆無とは言えない。
外耳道にイヤーピースを入れることに拒否反応がある人がいる反面、耳殻にクリップするイヤーカフスタイルにも向き不向きはあるだろう。
この2日間で、ハイレゾ&ドンシャリ、ジャズ・ロック系没入型の筆者にはサウンドイヤーカフはまったく向いていないことがハッキリとわかった。
今は、英語版の電子ブックリーダーが好きで、外耳道にイヤフォンを入れることが苦手なワイフが試用中だが、途中経過ではあまり希望はなさそうだった。
カルチャーの息吹を感じるが……昭和世代には向かないかも
音楽再生の頂点を目指すハイレゾ用のインイヤーイヤフォンはテクノロジーの粋を集め、マルチドライバー化、販売価格は10万円を超える高級品も当たり前の時代となった。
また、イヤフォンに見合うだけのデジタルオーディオプレーヤーを揃え、ハイレゾソースまで揃えてなんて目論むと、それこそとどまるところなしの金満世界に突入せざるを得ない。
頂点を目指す金満世界に入った人も、技術変遷や従来の音との関わりに疲れた果てた人達が大勢いることも事実だろう。
今回登場した従来の音楽再生の尺度では測れないサウンドイヤーカフには、どことなく割り切りと新しい音と人との関わり方を刷新するカルチャーの息吹を感じる部分もあるが、世界初のソニー「ウォークマン」をその時代にライブで使って来た昭和人間の筆者にはどうも関係なさそうだ。
今回の衝動買い
アイテム:「ambie sound earcuffs」
価格:ambieウェブサイトにて5940円で購入
T教授
日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。
T教授も関わるKOROBOCLで文具活用による「他力創発」を実験中。
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