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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第151回

Amazon Echoブームはどうとれらえることができるだろうか?

2017年02月08日 10時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII.jp

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App Storeの黎明期か、不要なものなのか

 なかなかスマートホームは難しいですね。Appleを含めて、攻め切れていない印象が強いです。

 ライフスタイルは家族や個人、あるいは文化によってそれぞれで、住宅やそこにある設備もまちまちです。スマートスピーカーが便利といっても、音楽をそれほど聞かない人にとっては魅力的とは言えません。

 スマートフォンは個人にフォーカスしていたことから、そうしたライフスタイルや趣味嗜好の差を乗り越えて普及し、その上でさまざまなアプリが走るようになりました。

 地図や辞書、電子書籍は紙の束を持ち歩かなくても、いつでもすぐに必要な情報を引き出すことができる体験を作り出しましたし、そもそもカメラは持たなくても良くなりつつあります。UberやAirbnbといったシェア経済のアプリも、スマートフォンを持った人々が動き回る環境によって成立しました。

 それに対してスマートホームは、そもそも“家”というモノのあり方が問われているわけで、共通項を見つけ出すのは骨が折れます。それでも、7000を超えたスキルを擁するAmazon Echoは、音声アシスタントの業界ではトップランナーですし、この中からキラーアプリが見つけ出される、そんな可能性を見出している人々は少なくないのです。

 ただ、ケータイ世代の筆者の本音を最後に書いておくと、果たして、家に据置型で利用するデバイスにそんなに魅力を感じるだろうかいう点です。

 たとえば今、大型の薄型テレビを買うか、大きめのタブレットを買うかと問われるとかなり悩みます。確かに映像をゆっくり座って楽しむ事ができるテレビは、より快適な映像体験を楽しむ事ができます。

 ただ筆者のライフスタイルを振り返ってみると、ゆっくり座って映像を見る時間というのは1日に1時間あれば良い方なので、移動中にスマホより大きな画面で映像を楽しめたり、映像以外の用途で利用できるタブレットの方がよさそうという判断になります。

 同じように、音声デバイスについても、家でしか使えないものよりは、いつでも利用できる方が良いと考えてしまいます。しかしそれすなわちスマートフォンなわけで、本当に賢い音声アシスタントが使いたければ、今現在であればGoogleアシスタントが利用できるGoogleのスマートフォン、Pixelを選択した方が良い、と言うことになります。

 個人的には、Amazon Echoを含む家庭向け音声アシスタントは、当落線上にあると思っています。もちろんある程度の可能性を切り開くかもしれません。しかしそれが今のまま、スマートフォンを凌駕するものになるとは考えにくいのです。

 Googleがうまいのは、Googleアシスタントを、Amazon Echoのような据置型デバイスのGoogle Homeだけでなく、スマートフォンでも利用できるようにしている点です。PixelなどのAndroidスマートフォンでGoogleアシスタントを便利に利用している人が、家でも使いたいというニーズをGoogle Homeでカバーするのは鮮やかです。

 そして、製品カテゴリーとしての命運は、Appleが握っています。

 AppleのSiriは、iOS 10で、一部のカテゴリーのアプリに対して音声コントロールを解放しました。2017年に発表するであろうiOS 11で、Appleはその適用範囲を広げていくことになると思います。iOS 11がリリースされるであろう2017年9月あたりに、Siri用の据置デバイスをAppleがリリースするのかどうか。

 個人的には、別にどちらでもよいと思っています。Apple TVに高性能マイクがつくのがちょうどよいかもしれません。スマートフォンのSiriが賢くさえなってくれれば、デバイスがあってもなくてもよいのです。

 Amazonに対抗するにしても、デバイスを出して既存のアプリデベロッパーを巻き込む作戦と、製品を出さずにそのカテゴリー自体を無視する作戦が考えられます。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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