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弁護士ドットコム元榮太一郎代表が8期連続赤字でも貫いたビジョンとは

サイト作りに経営者はどう関わるべきか?

連載
スタートアップのコーポレートサイトまとめ2016-2017

提供: デジタルステージ

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サービスの利用状況を見てサイト改善することが大切

洪:先ほど、8期連続赤字の時代があったというお話がありました。もともと収益モデルはどのように考えられていたのでしょう?

元榮:現在の収益は、サービス利用者からではなく、サイトに広告出稿をいただいている弁護士側からの課金、次にユーザー課金、そしてトラフィック広告の3つが主なものになります。当初はアドセンスとバナー広告からのわずかな収益でした。ニュースによってサイト来場者が増えるまでは厳しい状況だったわけです。

 2012年に『弁護士ドットコムニュース』がブレイクして、初めて外部株主としてデジタルガレージさん、次いでカカクコムさん、大前研一さんに入ってもらいました。それ以前はベンチャーキャピタルの参加もなく、もう一方でのオーセンス弁護士事務所としての自分達の資本だけだったのですが、8期連続赤字は外部資本が入ってなかったからできたことでしょうね。外部資本が入っていたら、それだけ長期間赤字を続けたら迷惑をかけてしまいますから。じつは『弁護士ドットコム』があったことで、「ネットに強い弁護士事務所」としてのブランディングが自然と形成されていたこともあり、弁護士業に救われていました。

洪:2014年には上場されましたね。

元榮:はい、2013年には黒字に転換しました。そこから短期間に、2014年10月には上場することができました。

洪:現在は新しい事業、『クラウドサイン』にも取り組まれていますが、どんな目的のサービスかがウェブを見るとわかりやすいですね。サービスの目的から始まり、ユーザーが困っていることがあって、それを解決に導くサービスであることがわかる。そして、サービスの使い方のイメージを動画で見せることで、簡単であることが伝わる。最後に、使ったユーザーの感想を載せることで説得力が加わる。トップページを流し読みするだけで、サービスの特長と信頼がつかめるとてもわかりやすいサイトだと思いました。

クラウドサイン

元榮:これも草創期からやりたかったことでした。弁護士が関わる契約プロジェクトは、印鑑が不可欠で、1つの契約を実現するために案件によっては100個くらいの印鑑を押すことが必要になります。印鑑を押す作業をしながら、その単純作業の量にあきれることも多いです(笑)。社長になるとさらに印鑑を押す作業が増えて、印鑑を押すのが毎日の仕事のようになっています。

 法律的には印鑑がなくてもOKというのはわかっていましたから、クラウドを利用することで契約をより簡単に完了できる仕組みが必要だということで『クラウドサイン』をスタートしました。こちらもスクラッチから作ることになったので、UI、UXには心血を注いでいます。利用されるか、否かの重要なポイントになりますから。

洪:シンプルなデザインの中で、テキスト情報は必要最低限に絞られ、どんなサービスかは動画で伝えることに焦点が当たっています。デザイン・構成ともにしっかり練られたサイトだと思いました。サイトの制作開始時にはデザイナーとどのようなやり取りをされましたか?

元榮:創業時とは違い、デザイナーとの信頼関係ができていますので、細かいことは言いません。ただ、契約の透明性、信頼性を伝えるために、透明感のある明るいデザインにしてほしいとだけリクエストしました。

洪:スタートアップの企業などでは一見、綺麗に作られていてもサービスの特徴がぼんやりとしたサイトをよく見かけます。表面上はデザインされていても、唯一無二はここだというサービスの強みを絞り切れていない、あるいは表現するまでに至っていないように思えます。だからこそ、自社のBiNDクラウドというWeb作成サービスでは、サイト制作に不慣れな人でもいかにサイトに反映できるか、実現できるかをモットーに開発しています。

スモールビジネス向けに実施しているBiNDクラウドの支援プロジェクト

元榮:サイトを運営してみて、じつはデザインの見た目以上に、事後的な修正が必要だということもわかりました。サイトをスタートする前に、ABCテストをしてみるとか、実際の使い勝手の善し悪しは重要な要素になりますね。

洪:はい、サイトはできあがって終わりではありません。おっしゃる通り、公開後の反響によって見直す、トライ&エラーを繰り返していくことが大切です。特にスタートアップ企業の場合、出す前に時間をかけるよりも、出した後の作業に時間をかけるほうがよいと思います。

元榮:そうですね。細かくサイトデザインに注文をつけることもありましたが、確かに事後の修正が大切であることは実感しています。

洪:我々の場合は、アナリティクスやヒートマップで閲覧者の行動を読み取って反映していくのももちろんですが、質問や問い合せなど生の声を迅速に吸い上げられるよう、各部署に直接メールで届くような環境にしておき、スピード対応を図るようにしています。

 最後にあらためて元榮CEO自身、サイト作りの点で弁護士ドットコムが成功した要因はどこにあったと分析されているのかを伺いたいと思います。

元榮:そうですね、最初に考えた「弁護士を身近にしたい。専門家を身近にしたい」というサービスのビジョンが、いろいろな方に理解いただけるものだったことがやはり大きかったと思います。だからこそ、賛同してくれる弁護士もいたし、人・物・金を引き寄せる力ができた。最初のサービスが賛同者を得られないものだったら、成功することはやはり難しかったのではないでしょうかと改めて思いますね。

洪:本日はありがとうございました。

(提供:デジタルステージ)

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