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小さい! Nutube搭載アンプ「MV50」などNAMMショー注目を見る

2017年01月27日 12時00分更新

文● 四本淑三

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「VOX MV50」その5 センドリターンがない……

 良いところばかり書きましたが、文句の出そうなところもあります。まずみなさんおっしゃるのは「おっと、センドリターンがない」です。実は私もそう思いました。俗に言うエフェクトループ、あちらの言葉で言うところのFX LOOP。

 ギターアンプというのはプリアンプで歪ませ、それをパワーアンプで増幅して、スピーカーを駆動するわけです。プリアンプの出力がセンド、パワーアンプの入力がリターン。できればその間に、ディレイやリバーブのような空間系エフェクトをさみたい。

 でないとエフェクトはプリアンプの前につなぐしかないので、残響成分も含めて歪んでしまうわけです、ぐわんぐわんと。それもサイケでいいものですが、普通に使うんだったらどうしましょうかという話。

 ちなみにMV50のスピーカーアウトとラインアウトは、同時出力が可能なんだそうです。ほほー。

 ここから先は応用編ですが、ならばラインアウトにエフェクトをつないで、エフェクト成分のみほかのアンプで鳴らせば良いんじゃないか。たとえば日本中のスタジオやライブハウスに常備されているJC-120とか。

 同じようにどこに行っても置いてあるマーシャルの1960Aというスピーカーキャビは、バックパネルの切り替えでステレオ入力に対応できる。つまり2つのアンプを同時に接続できるわけで、エフェクト用のアンプにMV50のCLEANを持っていけば、なんとかなるんじゃないかなと。

 ただドライとウエットで音質の差が出てしまうので、実際に使える音かどうかは、やってみなければわかりません。ホントはセンドリ欲しかったなー。

「VOX MV50」その6 フルチューブじゃない……

 もうひとつ文句が出るとしたら、パワーアンプがクラスDというところでしょう。「パワーも真空管じゃないと認めん」という硬派のみなさまのご意見です。でも真空管アンプが巨大で重くなるのは、そのパワー段のトランスやらなんやらの電源部のせいですから、小型でパワーも欲しければクラスDにならざるを得ない。

 ついでにストンプボックスサイズで50W程度のパワーアンプは、エレクトロハーモニクスさんらが発売されています。だから大したことねえ的な話も見受けられますが、MV50はそこに真空管のプリアンプも入っている訳ですから。これも従来の真空管だったら成立していません。

いきなり真空管が載っているMV50の基板。真空管を使った回路とは思えないほど実装密度もすごいことになってます

 もうひとつスイッチングアンプの50Wって大したことないんじゃね? というご意見。まさかVOXチームがドラムの音量に負けるような非実用的ものを出してくるとも思えませんが、世の中にはバカでかい音のドラマーもいるからなぁ……。実際のところ、これはキャビネットと組み合わせて使ってみないとわかりません。

 個人的に一番興味があるのは、8インチキャビBC108のポテンシャルです。それでどこまでイケるのか。もしイケるとなったら、アンプをギターバッグに入れ、キャビを手にぶら下げて電車移動で済んでしまうわけで、これは本当に革命です。もうひとつ気になるのは、電源がACアダプターだという点です。DC19Vというとそれなりに大きいような気もするのですが……。とにかく3月末の発売を待ちましょう。

 で、気がついたらMV50だけでものすごーく長くなってしまいましたが、ほかにもNutubeを使った製品が出品されています!

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