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「お金を増やすサービス」のあるべき姿 将来不安の解消目指すWealthNavi

無意識に老後のためのお金を増やしてくれるFintech

連載
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「そもそも(フィンテックを)やりたかったわけではない」

創業当初のウェルスナビの様子。柴山氏いわく完全にゼロからのスタートだったが、フィンテックの世情もあり、結果的に一気に加速した

 柴山氏自身が登壇イベントで「フィンテックという言葉を知らなかった。そもそも(フィンテックを)やりたかったわけではない」という発言をしているのが印象的だった。

 華麗な経歴も含め、内部から見る金融業界を知る強みがあるのはもちろんだが、インタビューを通じて感じたのは、あくまでこれまでの金融業界ではできていなかった当たり前のことを実現する動きをスマートに行っているだけということだ。「フィンテック」というバズワードでの観点では、国内の場合は「既存のシステムにつなぐ話ばかりでつまらない」という話もよく聞く。だが、柴山氏いわく、実際自ら手を動かしてサービスを作ったり、つないでみることで新たな刺激があるのだという。

 2017年に始まる「おつりの小銭を自動的に投資に回すサービス」も、「Acorns」という海外ベンチャーが実現しているが、それを軽々と日本でも始めてくれるのは、頼もしい部分でもある。

 このようなサービスの自作については、ハードルも高いが学ぶべき部分も多い。当初は「できるエンジニア」を求めて、さまざまなつてを頼っていった柴山氏だが、そのような姿勢では人が来ないことに気付いたという。柴山氏いわく、エンジニアを求めるなかで出会った「スーツはジーンズの敵ですから」というWantedlyの川崎禎紀CTOからの助言の影響力が大きかったらしい。

 実際スーツを脱いだわけではないが、「これまでの金融業界出身のやり方では通じない」と見た柴山氏は、プログラミングスクールの「TECH::CAMP」に通い、自らプロトタイプを完成させることになった。「自分の手でやってみることを始めてみたら、違うコミュニティにアクセスできた」(柴山氏)。人を巻き込んでサービスやプロダクトをつくるための重要なポイントのひとつと言えるだろう。


 WealthNaviは、SBI証券や住信SBIネット銀行との業務提供を発表し、資産運用のみならず、銀行APIを活用するフィンテックサービサーとしての地位を確立しつつある。また、2017年には「おつり」を自動的に積み立てるサービスにより、無意識的に資産形成するチャンスを増やしてくれるようになる。2017年から2018年にかけてが、WealthNaviの勝負の年になる。貯金・預金が多く資産形成に消極的な日本人に寄り添った同社ならではの温かみのある「資産運用」は果たして実現されるか、期待したい。

●ウェルスナビ株式会社
2015年4月28日設立。世界水準の金融アルゴリズムに基づく、合理的な資産運用を自動で支援するウェブサービス『WealthNavi』を開発・運用し展開。
2016年10月、SBIホールディングス、SBIインベストメント、みずほキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、DBJキャピタル、インフィニティ・ベンチャー・パートナーズを引受先とする総額約15億円のシリーズBを第三者割当増資にて実施。資金調達の総額は約21億円を超える。
社員数は2016年12月時点で30名。各種エンジニアから事業開発などのビジネスサイド、カスタマーサポートまで幅広く採用を進めている。

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