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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情第387回

Summit Ridgeは冷却性能でクロックが変動 AMD CPUロードマップ  

2016年12月19日 11時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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クロックや電圧をリアルタイム制御

 3つ目がPure Powerである。これは4つ目のPrecision Boostと同一のメカニズムを利用して実装されている。

Pure Powerの概念図。ここまで劇的に下がるとは思えないのだが……
Precision Boost。制御回路(クローズドループ)がどの程度の頻度で回っているのか、興味ある部分だ

 Pure PowerもPrecision Boostも制御サイクルは同じで、以下を延々と繰り返すだけの仕組みである。

  • (1) ダイのあちこちに分散されたセンサーで、電圧・動作周波数・温度などをリアルタイムに測定
  • (2) 測定した結果をベースに周波数や電圧を制御
  • (3) (1)に戻る

 ではPurePowerとPrecision Boostはなにが違うかというと、センサーから取得したデータを基に「動作周波数を変えずに消費電力を下げる(=電圧を少しずつ落としていく)」のがPure Power、「消費電力を変えずに動作周波数を上げていく(周波数倍率を少しずつ増やしていく)」のがPrecision Boostとなる。

 シナリオとしては、例えばある重い処理が急に始まると、どんどん周波数倍率を上げて性能を引き上げることになる。この際には電圧も上げていくことになり、結果消費電力も急増する。

 さて、定格を超えてターボの最大値まで動作周波数が引きあがったとする。ここまでは、プロセッサー内部に置かれたテーブルをベースに、動作周波数と電圧を制御している。

 ただそのままターボ状態が続くようなケースでは、Pure Powerを使って動作周波数を変えずに、少しずつ消費電力を落とす方向での動的なチューニングが始まる。最終的にはその周波数が維持できるぎりぎりまで電圧を落とすことで、性能を落とさずに省電力化が可能になるというわけだ。

 逆に、先にTDPの枠がいっぱいになってしまった、つまり95Wに達したようなケースを考える。基本はその時点でこれ以上動作周波数が上がらない、いわゆるサーマルスロットリングが発生しはじめる状態のはずだが、これはあくまでもあらかじめプロセッサーの内部に置かれたテーブルをベースとした限界なので、実際はもう少しマージンがあることが考えられる。

 そこでここからは電圧を上げずに(ひょっとすると微妙に電圧を下げる可能性もありえる)、少しずつ動作周波数を引き上げるという仕組みだ。これがPrecision Boostで、ここで少しでも性能を稼ぐために、従来は100MHz刻みだった周波数倍率を25MHz刻みに変更している。

 プロセッサーがある状態に置かれたときに、そこからPure PowerとPrecision Boostのどちらが動くのか、あるいは動かないのかという基準が明示されていないので、どこからどう動くのかというシナリオは現状よくわからない。このあたりは今後開示されるのではないかと思われる。

 これらが絡んで5つ目として挙げられているのがExtended Frequency Range(XFR)である。

冷却によって変わるExtended Frequency Range。特に液体窒素冷却の場合、TDPで判断すると全然効果がない。そこで、Tj(ジャンクション温度)をベースに判断しているものと考えられる

 これは一時的にせよPrecision Boostの最大を超える動作周波数を許すというものだが、冷却方法によって上がり方が変わり、しかも完全自働という話になっている。

 温度センサーからの情報を元に、冷却の度合いを測定して、空冷なのか水冷なのか、もっと強力なもの(液体窒素など)なのかを内部で判断し、それに応じて動作周波数や電圧の上げ下げの傾きを変えているものと思われる。またブーストの最大値を超える動作周波数をどの程度許すかの判断も行なっている模様だ。

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